初めてフランス・セユーズ (Séüse) でクライミング!世界のクライマーが憧れる岩場を登ってきた!これから行く人に伝えたい私のリアル体験談 😆

フランスでクライミングと言えば、あなたはどこを思い浮かべますか? 

ボルダリング派の方なら、真っ先に「フォンテーヌブロー (Fontainebleau)」を思い浮かべるかもしれません。私自身はロープを使ったクライミング思考なので、渡仏前は「シャモニー (Chamonix)」が真っ先に頭に浮かびました。クライミング仲間と「アルプス (シャモニー) でクライミングをしよう!」と語り合ったことを、今でも鮮明に覚えています。アルプスの絶景をバックにクライミングする。そんなシーンを想像していました。

もちろん、それは間違いではありません。けれど実際にシャモニーに足を運んでみて、そこがアルパイン系クライミングの聖地であることを初めて肌で感じました。 


では、フランスでスポーツクライミングのランドマークと言えばどこでしょう? 歴史を辿れば「ビュークス (Buoux)」かもしれません。でも、おそらく今なら多くの人が「セユーズ (Céüse)」の名を挙げるでしょう。 


私がセユーズに憧れを抱くようになったのは 2020年 のことです。夏にブリアンソン (Briançon) やエルフロワド (Ailefroide) を訪れた際、その近くにあるセユーズの存在を知りました。写真で見たその美しい岩壁に、一瞬で心を奪われ、「いつか必ず登りに行きたい」と強く思いました。 


ちなみに、セユーズには世界初の (9a+) ルート「Biographie」のある場所だと知ったのはその後のことです。私のクライミング知識や情熱なんて、その程度でした 😅 

そしてついに、憧れのセユーズでクライミングをする機会を得ました。このページでは、初めてのセユーズ体験を、実際登ったルート、アプローチ、キャンプ生活の様子を交えながらご紹介します。これからセユーズを訪れる方の参考になれば幸いです。


セユーズ (Céüse) ってどこにあるの? 

セユーズはフランス南東部、プロヴァンスとアルプスの間、オート=アルプ県の山岳地帯に位置します。標高は約2000mで、リヨンからは車で約3時間、マルセイユからは約2時間。クライマーにおなじみのブリアンソンからは2時間弱の距離です。


セユーズ (Céüse) の魅力 

セユーズの最大の魅力は、世界初の (9a+) ルート Biographie や Bibliography (9b+) をはじめとする高難度ルートが揃っているところです。もちろん、私のように (7a) 前後を楽しむクライマーにとっても、刺激的で登りがいのあるルートが揃っています。


また、標高が高く、日陰になる時間帯が長いため、真夏のヨーロッパでも比較的快適に登れるのも大きな魅力です。


クライミングの基本情報 

セユーズ (Céüse) でのクライミングは、6〜8月がベストシーズンです。標高が高いため、真夏でも比較的涼しく快適に登れます。 

Climbing topo:Céüse 2023


必要なクライミング装備

ロープ:80m以上推奨

クイックドロー:16本以上 (私が登ったルートは14本程度で足りました) 

クライミングトポ:Céüse 2023 (La Maison de Céüze/観光案内所で入手可能) 


ルートによって必要なギアの本数やロープの長さは異なる場合がありますので、登る前にトポで確認してください。 私が見た限り、ほとんどのルートはよく整備されており、終了点にはOリングなどが設置されていました。

クライミングエリアまでのアプローチ 

セユーズのクライミングエリアまでは、駐車場(Col des Guérins、標高1312m)から標高差約500m、約60分の登りになります。岩場は標高1700mを超えるあたりに広がっていて、アプローチはほぼ登り一辺倒です。私たちを含め、多くのクライマーは「初日にクライミング道具を担ぎ上げ、以降は岩場に残置 (自己責任)」していました。毎日のアプローチの負担を減らすための工夫です。 


このアプローチの長さに関しては意見が別れるところだと思います。30℃を超える真夏に伊豆・城山ワイルドボアで登っていた自分にとっては、セユーズの岩場に着いた後の涼しさと快適さを思えば苦にはなりませんでした。特に帰り道の下山は標高が高い分、涼しくて気持ちよく、達成感を噛みしめながら歩けました。 


また、パートナーの提案で朝8:30頃にキャンプサイトを出発し、早朝の時間帯に登る日もありました。朝は気温が低く、アプローチも比較的楽に感じましたが、昼前には暑さでクライミングの気力が奪われ、15:00頃までは日陰でダラダラと過ごすことが多かったです。 


🪰そして、初めてのセユーズで一番意外だったのは、ハエや蚊の多さです。標高が高いので虫はいないだろうと油断していましたが、特に初日・2日目は予想以上の多さに驚きました。とはいえ、日が経つにつれ慣れたこともあってか、気にならなくなりました。気温や天候によって虫が多い日もあるので、日焼け止めや防虫対策も用意しておくと安心です。


メモ1:水は1.5Lで足りましたが、人によってはもっと必要と感じるかもしれません。防寒対策も必要でした。夕方になれば風が吹き、日陰ということもあり肌寒く、特に登ってない時はダウンジャケットを着ている日もありました。参考までに私がセユーズに訪れたのは、Sigoyer の気温が30℃前後でした。


メモ2:Grand Face に行く場合もより直登気味なルートよりも、Biographie エリア経由の方が傾斜が緩やかで登りやすいと思いました。


セユーズでの生活パターン

クライマーの多くは午後から行動開始。13〜14時頃に駐車場を出発し、14〜15時に岩場着、19〜20時まで登ります。午前中に行くと岩場が貸し切り状態で、これはこれで贅沢な時間だと思います。

宿泊 (キャンプサイト) 🏕

宿泊は La Maison de Céüze が管理している新しいキャンプ場を利用しました。

施設はとても清潔で快適でした:

🚾 トイレには便座もあり至って普通の洋式トイレでした。トイレットペーパーは持参してください

🚿 シャワーはお湯が出ますがトラブルもある様です

🔌 携帯電話などの充電は La Maison de Céüze (観光案内所) にある電源を使いました

📶 WiFi は La Maison de Céüze (観光案内所) のものを使うことができます


La Maison de Céüzeが運営しているキャンプサイトが満員の際は、近くの CAMPING Guérins(昔からあるキャンプサイト) も選択肢です。また、周辺には「gîte (ジット:簡易宿泊施設)」もあるので、キャンプ以外の宿泊を検討している方は探してみるのも良いでしょう。

食事に関して: 

セユーズ周辺にはお店がほとんどないので、GAP にあるスーパーマーケットでまとめて食料品を購入し、自炊しました。ほとんどの人がキャンプ用の携帯ガスバーナー等を使っています。直火は禁止だと思われますのでご注意ください。


そして、フランス人クライマーにとって欠かせないのがパン。La Maison de Céüze (観光案内所) でパンの予約注文が可能です。前日の18時までに注文すると、翌朝に受け取れます。わざわざパン屋まで出かける必要がなく、とても便利です。季節や状況で変わることもあるので、詳細は現地で確認してください。


 最終日には、打ち上げと称して、岩場近くのレストラン「Le Crux - Céüse」でピザを楽しみました。 

La Maison de Céüze (観光案内所)

La Maison de Céüze は、セユーズでのクライミング滞在をサポートしてくれる拠点です。営業時間は 9:00〜12:00、15:00〜19:00 です。 ここでは、クライミングトポ (Céüse 2023) の購入、パンの予約注文 (前日18時までの予約で翌朝受け取り)、電源の利用 (携帯電話などの充電)、Wi-Fiの利用 などが可能です。 さらに、小さなインドアクライミングジムが併設されていて、ちょっとしたウォームアップや雨天時のトレーニングにも使えます。 


ポイント:施設の使い方などは季節や状況によって変わることがあるため、到着したらまず観光案内所で最新情報を確認してください。


私が実際登ったクライミングエリア: 

1日目:Grande face / Inespérance & L’Esbroum 

2日目:Grande face / Nitshapa 

3日目:Demi lune / secter de droite & Beau mouvement 

4日目:レスト (写真撮影のみ):Thorgal / secteur de droite 

5日目:Berlin

6日目:Demi lune/ secteur de droite & Un pint sur l’infini & Berlin

7日目:Grande face / Inespérance & L’Esbroum

私が実際に登ったクライミングエリアの感想

セユーズ (Céüse) には多彩なクライミングエリアがあり、それぞれに個性があります。ここでは、私が実際に登った中で感じた特徴をご紹介します。初めてセユーズを訪れるクライマーの方の参考になれば幸いです。


Grande Face

他のセクターに比べるとグレードが比較的優しめで、ボルトの間隔も短く、ランナウト感はクラシックエリアと比べると控えめだと感じました。岩場で出会ったクライマーも「ここは他のエリアよりも soft (甘め) だね」と教えてくれました。とはいえ、どのルートもとても素晴らしく、登っていて純粋に楽しいと感じました。また、日陰になる時間が早いのも夏の暑い時期には大きなメリットです。


Berlin

私が登った中で特に印象に残ったエリアです。看板ルートには挑戦できませんでしたが、垂直の非常に美しい大きな壁が素晴らしく、見ているだけで気持ちが晴れやかになる場所でした。


Biographie 

そして、やはり一番美しいと感じたのは Biographie エリアです。あの荘厳な壁を眺めるだけでも心が高揚し、「ここで登れたらどれだけ素晴らしいだろう」と思わずにはいられませんでした。残念ながら私のレベルでは登れるルートはありませんでしたが 😆 訪れる価値のある景観です。


初めてセユーズを訪れる方は、まず Grande Face でセユーズの雰囲気やスタイルに慣れた上で、クラシックエリアで自分の目標ルートに挑戦するのもおすすめです。セクター選び次第で、より充実したセユーズ クライミング体験になると思います。


最後に

セユーズは、体力的にも挑戦しがいがあり、景色もルートも唯一無二の場所です。これから初めて訪れる方の参考になれば幸いです。

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