イタリアでクライミングと言えば、まず思い浮かべるのはドロミテやクライミングコンペティション (Rock Master) が毎年開催されるアルコ、フィナーレ・リーグレ、そしてコモ湖周辺のイタリアアルプスでしょうか。実は、これらに匹敵する素晴らしいクライミングエリアがもう一つあります。それがオルコ渓谷 (Valle dell'Orco) です。
VALLE dell’ORCO : Sergent
オルコ渓谷 (Valle dell'Orco) ってどこにあるの?
オルコ渓谷は、グラン・パラディーゾ国立公園 (Gran Paradiso National Park) に位置し、トリノ (Torino) の北側、ミラノ (Milano) の西側にあります。登山が好きな方なら、アオスタ (Aosta) の南側の渓谷と言えばピンとくるかもしれませんね。オルコ渓谷はトリノ市街から車で約2時間の距離にあり、アクセスも良好です。
オルコ渓谷 (Valle dell'Orco) の魅力
私も初めて訪れるまで知らなかったのですが、オルコ渓谷は西ヨーロッパアルプスで最高のクラッククライミングエリアの一つとして知られています。オルコ渓谷でのクライミングは、片麻岩 (gneiss) が作り出す美しいクラックが特徴で、花崗岩に似たその質感から「イタリアのリトルヨセミテ」とも呼ばれています。
特に有名な課題は、世界的に知られるルーフクラックルート「グリーンスピット (Greenspit) 8b」ではないでしょうか。このルートによってオルコ渓谷が世界中に知られるようになったと言っても過言ではありません。また、キャンプ場近くのクラックボルダー「Kosterlitz 6b」もオルコ渓谷を訪れたクライマーなら誰もが一度はトライする有名なルートです。私も少しだけトライしましたが、磨かれた岩質と恐怖心から離陸できず 😅 トップロープで挑戦しているクライマーもいました。
Droide di San Menerio
実際に訪れたクライミングエリア:
Droide di S. Menerio
Droide di S. Menerio はトラッドクライミングとスポーツクライミングが楽しめる小さな岩場です。特にオルコ渓谷でボルトが打たれたスポーツクライミングを楽しみたい人にとっては、貴重はクライミングエリアです。
オルコ渓谷は Gneiss (片麻岩 ) の岩場として知られていますが、Droide は、オルコ渓谷では珍しい、白い壁が美しい花崗岩の岩場です。駐車場から岩場までは15分ほど、ケルンが積んであり、迷うことはなく岩場に着くことができるでしょう。ルート数は28、最大の高さは20mほどですが、クラック、コーナー、スラブ、カンテとさまざまなクライミングスタイルを楽しむことができます。
壁の向きは南側で夏場を避けて登られているようです。我々が Droide に行ったのは7月の下旬、それも熱波が来ている時期でした。おそらく最高気温が30℃近くあるとても暑い日でしたが、午前中は日陰もあり風が通り抜けて、気温の割には登りやすかったです。こんなに暑かったにもかかわらず、この小さな岩場に我々以外にも15人ぐらいが登りに来ていました。
我々はボルトが打たれているスポーツクライミングルートを登りましたが、魅力的なクラック課題を登っているパーティーもいました。オルコ渓谷でのクライミングに慣れるため、あるいはマルチピッチクライミングのアクティブレストにはいいクライミングエリアなのかもしれません。
Droide di S. Menerioでのクライミング備忘録は 👉🏻 こちらにもう少し詳しくまとめています.
Sergent : Via Yoghi
Sergent
Via Yoghi
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450m, 14 pitch
Altitude : 1700 m / 2100 m *Camping La Peschera : 1600m
8:00 Via Yoghi クライミングスタート
12:00 クライミング終了・懸垂下降開始
14:00 駐車場・キャンプサイトにもどる
*アプローチは駐車場から徒歩20分程度です。
オルコ渓谷の典型的なルートではなく、しっかりとボルトが整備されたルートです。途中草が生い茂っている箇所はまありますが、このレベルのマルチピッチ・スポーツクライミングを楽しみたい人にとってはおすすめできるルートです。Via Yoghi のハイライトピッチ (L12) は、太極図 (タオマーク)のような、黒い部分と明るい部分が分かれた美しいクラックで、オルコ渓谷のクラックを少しだけ体験することができます。
Sergent > Via Yoghi でのクライミング備忘録は 👉🏻 こちらにもう少し詳しくまとめています.
VALLE dell’ORCO
クライミングトポ:
VALLE dell’ORCO EDIZIONI Versante Sud
*クライミングトポはキャンプサイトで購入しました。
準備したクライミング道具:
・シングルロープ 70m
・ダブルロープ 2×50 m
・クイックドロー18個
・カムセット
・スリング&カラビナ類
クライミングフェスティバル (Valle Orco Climbing Festival)
オルコ渓谷にある小さな村、Ceresole Realeでも毎年クライミングフェスティバルが開催され、多くのクライマーが集まります。クライミングだけでなく、様々なイベントやアクティビティが楽しめるので、ぜひ訪れてみてください。
Kosterlitz 6b & Camping La Peschera
🏕 宿泊情報:キャンプサイト
Camping La Peschera
住所:Borgata San Meinerio, 10080 Ceresole Reale TO
目の前にはクライミングエリアの Sergent が広がり、広々とした芝生のキャンプサイトがとても心地良かったです。私が訪れた7月下旬の週末は天気予報が不安定だったためか、意外と混み合うことなくリラックスできました。
キャンプサイトの施設
🔌🪫 携帯電話の充電が可能な電源がトイレに2箇所ありましたが (男女別)、意外と利用者は少なくびっくりしました。皆さん予備のバッテリーを持っているのかもしれません。
🚾 トイレは便器のないタイプで、初めての人は少し戸惑うかもしれませんが、慣れれば問題ありません。
🚿 シャワーは男女別に1箇所あり、温かいお湯が出るので安心してください。
🍖🔥 バーベキューができるサイトも併設されていました
キャンプ場には小さなレストランも併設されており、軽食やビール、ジェラートなどが楽しめます。日曜日には日帰りで訪れた多くの観光客がランチやビールを楽しんでおり、家族連れにも優しい雰囲気でした。
チェレゾーレ湖 (Lago di Ceresole)
セレソーレダムによって作られた美しい湖です。チェレゾーレ湖周辺は、芝生で覆われていてピクニックができる日陰があり、車で簡単にアクセスできるおすすめのスポットです。湖の周り (7.5 km) を徒歩で周ることができます。比較的簡単にアクセスできるスポーツクライミングエリア(Pian della Balma)もあります。
今回はオルコ渓谷本来の魅力であるクラッククライミングを楽しむ機会がほぼなかったものの、それでもオルコ渓谷は自然の中でクライミングを楽しむには最適な場所でした。まだ訪れたことがない方は、ぜひ一度足を運んでみてください。その魅力に取り憑かれること間違いなしです。
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