挑戦の先にある喜び!40代で始めたクライミング・ボルダリングが教えてくれたこと: 夢を追い求めた旅、50代になってクライミンググレード「8a, 5.13b」が初めて登れるまで

外岩クライミングは自然と心をつなげる素晴らしいアクティビティだと思っています。私はその魅力に15年以上も引き込まれてきました。こんなに長く続いている趣味はこれが初めてです。初めてクライミングに挑戦したときの感動や、今では夢見ていたルートに挑戦できるようになった喜びは言葉では表しきれません。

日本でのクライミング


私とクライミングの出会い

クライミングへの興味が芽生えたのは、同僚の一言からでした。「クライミングやりたいんだよね!」その言葉が、私の人生に大きな転機をもたらすことになるとは、当時の私には想像もできませんでした。


私がクライミングを始めたのはスポーツ(スポート)クライミングがオリンピック種目になるはるか前のことでした。同僚がクライミングを始めると言う話を聞き、一緒にクライミングジムに連れて行ってもらったのがきっかけでした。初めてクライミングジムに足を踏み入れた時、私の目は驚きでいっぱいでした。まず感じたことは、「こんな小汚い、埃っぽい倉庫でクライミングをするのか」と言うものでした。見慣れないプラスチックのホールド。上半身を裸で登りながらシャウトしている人をみて、「やばいところにきたなぁ」と、ネガティブな印象でした。


挑戦と成長の一歩

言われるがまま、準備をして、緩傾斜のボルダリング用の壁を登りました。その後、ロープを使ったクライミング、トップロープクライミングを初めて体験しました。クライミングジムに半日ぐらい居たと記憶していますが、指導をしてくださった知人 (この後1年ほどお世話になる師匠) の適切なアドバイスと指導があり、大変興奮したことを覚えています。最初の壁に手をかけた瞬間、私の中に眠っていた情熱が目覚めました。壁を登り切ったときの高揚感は、今でも鮮明に覚えています。ほんの数時間で、これまでのネガティブ思考が、一瞬にしてポジティブな思考に変わり、クライミングを続けてみたいと思う様になりました。


挑戦と成長の旅の始まり

クライミングの世界は、まるで私の内なる冒険心を呼び覚ます魔法の扉のようです。初めてクライミングジムを訪れた翌月、私は外岩、伊豆・湯河原幕岩でのクライミングに挑む機会を手に入れることができました。そこでの初めての挑戦は、恐怖と興奮が入り混じった体験でしたが、その高揚感は、私の心に新たな自信を与えました。自然の中で自分の限界に挑戦する喜び、その先にある充実感を知ることができたのです。 この感動がきっかけとなり、私のクライミング物語が始まりました。それは単なる趣味ではなく、次第に私の人生を豊かにし、新たな可能性を模索する冒険の旅へと進化していきました。


私のクライミング楽しみ方:外岩クライミング

クライミングは多様な形態がありますが、私が愛するクライミングはフリークライミングのカテゴリーに分類される、ロッククライミング、外岩でのクライミングです。その外岩クライミングにも2種類のスタイルがあります:ルートクライミングとボルダリング。私が楽しんでいるのは外岩クライミングの中のルートクライミングです。私が言うスポーツクライミングとは、岩に設置されたボルトを使って登るスタイルを指します。なお、ボルトのないルートを登るクライミングはトラッドクライミングと呼んでいます。*JMSCA での表現方法とは異なっていることに注意してください。


これ以降特に言及がない場合は、私が書いている「クライミング」とは、外岩に設置されたボルトを使って登るルートクライミングのことです。インドアクライミングジムでのクライミングに関しては「クライミングクジム」と表記しています。


私のクライミングに対するスタンス
(1) 外岩クライミング

私はクライミングを始めた時から一貫して、外岩でのルートクライミングに心を奪われています。ただし、唯一フォンテーヌブローでのボルダリングも同じくらいの魅力を感じます 😆

(2) クライミンググレード

クライミングのグレードにはこだわりがありますが、それは単なる数字上の追求だけではありません。特に (7c/7c+) 以上のグレードに挑戦し始めてからは、単にグレードを追い求めるだけでなく、自分が魅力的と感じるルートにフォーカスしています。私にとって魅力的なルートとは、長さがあり、多様なムーブがあるもので、表示されたグレードが自分の感覚と一致するものです。端的に言えば、自分が登りきった瞬間に感じる喜びを想像し、自信をもってそのグレードを伝えられるルートです。  

🇫🇷ヴォージュ山脈でのクライミング


クライミングに関する私の3大ニュース

クライミングを始めてから数々の経験の中で、私にとって特筆すべき3つの出来事がありました。

(1) 師匠の転勤:

クライミングを始めて一年、月に2回ほどのペースで登る喜びを噛みしめていた頃、師匠が突然転勤となり、クライミング指導者がいなくなりました。それでも、これまで出会ったクライミング仲間との絆や、新たな友人との出会いが私を支え、クライミングを続けることができました。この時期に一緒にクライミングをしていた友達には本当に感謝しています。いまなら色々な経験があり、適切なアドバイスもできるとは思いますが、あの当時は自分が思うがまま、好き勝手に登りに行っていたと思います。自分が指導するまでもなく、各個人が安全に気をつけてクライミングをしてくれたおかげで、安全かつ楽しい登山を続けることができました。本当に楽しい思い出として残っています。

(2) 突然の渡仏: 

クライミングを続けて4年数ヶ月が経った頃、突然のフランスへの渡航が決まりました。日本でのクライミング経験は、新たな友人との出会いや、クライミング文化の豊かさを味わうことができる素晴らしい機会を与えてくれました。日本とは異なるクライミングの風景や歴史に触れ、クライミングが私にとっていかに貴重なものかを再確認しました。

(3) 右肩の故障: 

渡仏してから積極的にクライミングジムにも通う様になり、外岩クライミングとは違った楽しみを味わえる様になりました。2015年からクライミングジム主催の草コンペに参加するようになり、クライミングジムでボルダリングをする機会が増えました。その影響なのか残念なことに、2016年11月のボルダリング草コンペの後、肩を痛めてしまいました。怪我をしてからの1年間は、肩の状態に注意しながらクライミングを続けることに努めました。この経験から、安全なクライミングの重要性や、体のケアの大切さを学びました。

ヨーロッパでのマルチピッチクライミング


私のクライミングトレーニング方法は原始的:

(1) ルートを登る

私のトレーニング方法は、単純明快です。「登りたいルートを登る」ことです。筋力や保持力を鍛える個別トレーニングの重要性は理解していますが、とにかく「筋トレ」や「指トレ」などを続けることができません。普通の懸垂は8回ぐらいが限界です。私のトレーニング方法は非科学的ですが、私にとっては最も効果的な方法です。自分の目標に合ったルートを選び、その挑戦に臨むことで、自然な形で体力やテクニックを向上させていっています。

(2) ストレッチ

怪我を経験したことから、クライミング前後のストレッチを重視しています。クライミング前には動的ストレッチ、クライミング後には静的ストレッチを行うことで、筋肉の柔軟性を保ちながら怪我の予防に努めています。クライミング前後のストレッチは、肩や関節、指の負担を軽減するために欠かせません。

(3) クライミングジムでのトライ回数を制限

クライミングジムでは、同じルートを何度も繰り返しトライすることを避けています。外岩クライミングと異なり、クライミングジムでは特定のルートに対するこだわりが少ないため、様々なルートに挑戦することで幅広い技術や戦略を身につけることを心がけています。特に、自分の不得意なルートにも積極的に取り組むことで、自己成長を促すことができます。 


これらのトレーニング方法を組み合わせることで、クライミングの技術や体力を着実に向上させることを目指しています。


私の食事制限も原始的: 

私の食事はシンプルかつ原始的です。プロテインも含め、サプリメントは使用せず、栄養素は基本的に食品から摂取しています。サプリメントの摂取にあたり、何をいつどれだけ摂取するべきかを計算することに手間がかかるという思いからです。強いていうなら、マルチピッチライミングに行く時は、スーパーで気軽に手に入るエナジーバーを購入しています。

また、外岩クライミングに行く前日、出来れば2日前は、アルコールを控えることを理想としています。これは加齢に伴い、明らかにアルコール摂取がパフォーマンスの低下に影響すると感じられてきたからです。


達成までの道のり:『De la terre à la Une (8a)』

憧れのルート『De la terre à la Une (8a)』を完登するまでの長いストーリーは、私にとって大きな喜びと成長の証でした。しかし、その達成までの道のりは簡単なものではありませんでした。挑戦と困難が待ち受ける中で、私は失敗から学び、努力を続けることの大切さを痛感しました。以下に、私の達成までの道のり (グレード推移) を表にまとめました。

上記の表を見てもらえればわかるかと思いますが、日本のクライミングエリアでの最高グレードは伊豆・城山・ワイルド・ボア・ゴージ『OVERDRIVE (5.11d)』の1ルートのみです。

上記の表は渡仏してから (2012~2024.4)、ホームクライミングエリア (ヴォージュ山脈) で登った記録です。ホーム以外のクライミングエリア、例えばカリムノス島などは含まれていません。


次に私のクライミングトレーニング方法をもう少し具体的にお伝えします。週に何回クライミングを行っているか、そしてクライミングジムでの過ごし方や外岩クライミングでのプロジェクト課題への挑戦の仕方について述べます。


週にクライミングはどれくらい行っているのか?

理想的な頻度は週に外岩クライミングが3回ですが、現実的な理想スケジュールは週にクライミングジムが2回、外岩が1回です。これは理想的なスケジュールであり、実際の生活では難しい時が多くあります 😁 とにかく週3回のクライミングを目指し、週2回は登りに行きたいと思っています 😁


フランス東北部・ヴォージュ山脈周辺での外岩クライミングは、2月下旬から11月上旬にかけてがシーズンです。したがって、オフシーズンは、ほぼ、クライミングジムでのトレーニングになります。


クライミングジムでの過ごし方

クライミングジムでは、約3時間ほどの滞在です。そのうち、クライミング前と後にそれぞれ約30分ずつストレッチを行い、残りの時間は実際にクライミングをしています。クライミングジムでは主にルートクライミングを行い、ボルダリングはパートナーが見つからなかったときに行う程度です。比率的には、「ルートクライミング:ボルダリング=3:1」くらいで、ルートクライミングの割合が高いです。


外岩クライミングでの過ごし方

登るルートの数は日 (滞在時間) によって異なりますが、多い日でも6ルートほどです。ウォーミングアップに1〜2課題、プロジェクト課題に2〜4トライ、クールダウンに1〜2課題を行うようにしています。

De la terre à la Une (8a)


目標を達成した後も、私を待ち受ける新たな挑戦があります。次なる目標に向かって努力し、成長していく過程こそが、クライミングの魅力の一端だと思っています。私の具体的な目標は、もちろん新たな (8a)グレードの完登です。また多くのクライミングエリアには、まだ挑戦していない魅力的なルート (7b+〜7c+) が数多く残っています。これらに挑戦しながら、新たな (8a)グレードの完登を目指してトライしていきたいと考えています。


【結び】

クライミングは私にとって偶然の出会いから生活の一部となりました。この素晴らしい世界に皆さんも飛び込んでみてください。きっと新しい発見や経験が待っていることでしょう。岩場でお会いできる機会があれば、気軽に声をかけてください。

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