ドロミテ移動日、まさかのハプニングと苦い山小屋体験
今朝もトレ・チーメ (Tre Cime) を包む空は雲ひとつない快晴でした。アウロンツォ小屋 (Rifugio Auronzo, 2330m) のボリュームたっぷりの朝食も美味しくて、心もお腹も大満足。トレ・チーメの絶景とともに過ごした滞在の締めくくりに、思わず「また必ず戻ってきたい」と心の中でつぶやいていました。
コルバラ (Corvara) から見た マルモラーダ山系 (Marmolada)
この日は、コルバラ (Corvara) への移動日です。本来の予定では、アウロンツォ小屋からコルティーナ (Cortina d'Ampezzo) へバスで戻り、ファルツァーレゴ峠 (Passo Falzarego) を経由してコルバラに向かうつもりでしたが、すでに夏季期間限定のバスは運休になっていました。
San Lorenzo di Sebato
やむなくルートを変更し、Dobbiaco/Toblach までバスで戻り、そこから電車で San Lorenzo di Sebato へ行き、さらにバスに乗り継いで、コルバラにたどり着きました。
そして観光案内所は昼休み…
お昼過ぎ、ようやくコルバラに到着。すぐさま観光案内所 (Tourist Office) へ駆け込みましたが、なんとちょうど昼休みに突入……
もし情報が手に入っていれば、少し街を散策できたのにと残念に思いつつ、とりあえずこの日の宿泊予定地であるコストナー小屋 (Rifugio Kostner, 2500m) を目指すことにしました。
観光案内所が閉まっているため、情報ゼロの状態でロープウェイ乗り場へ。バス停近くに見えたゴンドラ乗り場へ直行しましたが……そこではありませんでした 😱 結局、観光案内所の近くにあったロープウェイが正解。ようやく山の上へと向かうことができました。
ゴンドラを降りた先に広がっていたのは、想像を超える絶景でした。間近に見えるのはマルモラーダ山系 (Marmolada)、そして遠くには数日前に登ったトファーナの山々まで見ることができました 😲
Rifugio Kostner (2500m)
ところが……コストナー小屋で“まさかの冷たい歓迎”
ようやくたどり着いた Rifugio Kostner (2500m)。しかし、ここで思いがけない一幕が待っていました。
アウロンツォ小屋で2泊して、もう胃袋もパンパン。今夜は軽めに、手持ちの行動食だけで済ませようと素泊まりを希望していました。ところが、受付で「素泊まりでお願いします」と伝えたその瞬間、スタッフの雰囲気が一変。思わず「えっ?」と戸惑ってしまうほど、態度が急に素っ気なくなったのです。
・シャワー代が後になってなぜか値上げ
・食事は「外で食べてください」との一言
・それ以降のやりとりも、どこかよそよそしい空気が流れていました…
言葉の行き違いもあったのかもしれません。でも、あからさまなその対応に、内心「なんだかなぁ…」と肩を落とすしかありませんでした。
それでも、「まあ、いろいろあるさ。こういうのも旅のスパイスだよね」と自分に言い聞かせて気持ちを切り替えました。
そして、この“ちょっと苦い気持ち”が、翌朝にまるで嘘のように晴れわたることを、このときの私はまだ知りませんでした。
迷いのヴィア・フェラータ、そして決断の時
この日の天気は快晴 ☀️ ただし、翌日は曇りのち雨の予報が出ていました。時計を見るとすでに13時過ぎ。気になっていたヴィア・フェラータ Piz da Lech (VF3B) のコースタイムは2〜3時間。下山も含めると4時間ほど。日没前に戻ってこられそうなギリギリのタイミングでした。
少し迷いながらも、「とりあえず取り付きまで行ってみよう」と気持ちを切り替えて準備を開始。装備を整えて、Rifugio Kostner を出発した……その瞬間、またしても山小屋のスタッフに呼び止められました。
どうやら、私が宿泊をキャンセルして山小屋を出て行ったと誤解されたようです。「そんなつもりはまったくないし、無言で立ち去るような失礼なことはしない」と、なんとか説明して誤解は解けましたが、正直言って、心の中ではモヤモヤ……
「もう…今日はいろいろありすぎるなぁ」と思いつつも、気を取り直して再び出発。
ところが……取り付きの場所がどうしても見つからない。進んでは戻り、また違う道を試して……と繰り返すうちに、時計の針は14時を回っていました。無理は禁物。このタイミングでのアタックはリスクが高いと判断し、ヴィア・フェラータは潔く断念することにしました。
心残りはあるけれど、旅の安全と余白はとても大切。そんな思いを抱えて、山小屋に静かに引き返しました。
そして夕暮れ、美しきマルモラーダの姿に癒される
夕食は、山小屋の指示通り外で食べることに。「ちょっと寂しい夕食かな」と思っていたのですが、目の前に広がっていた景色がその気持ちを一変させてくれました。
眼前にそびえるのは、ドロミテの最高峰・マルモラーダ (Marmolada)。そのどっしりとした存在感と、幻想的なシルエットに、思わず心を奪われました。このときの空はやや曇っていて、氷河はどこか「だれっ」として見えたけれど 😆 それも含めて“女王”の貫禄のようなものを感じました。
実は翌日、このマルモラーダ山系を雪に覆われた真っ白な姿で再び見ることになるのですが、それはまた別の感動の話。今日のちょっとした苦い出来事も、こうして自然の景色がすべてを包み込んでくれるような、不思議な一日でした。
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