Rurey:シャティヨンの堰の音が響く白い壁。ルー渓谷に刻まれた、テクニカルなクライミングが待つ岩場

フランス東部、ジュラ山脈のふもとを静かに流れるルー川(La Loue)沿いに、その岩場はあります。道路を挟んだ向こうには牧草地が広がり、川のせせらぎとシャティヨンの堰の音が、クライマーたちの歓声をかき消すほど響いてくる?そんな場所です。 

Rureyに初めて来たのは2018年の夏のこと。クライマー仲間に誘われ、猛暑の中、石灰岩の白い壁と向き合いました。2回目は同じ年の秋、3回目は翌2019年の春。気づけば短期間に3度も足を運んでいました。

「ドゥー県には42ものクライミングエリアがあるのに、なぜまたRureyなのか?」と仲間に聞いたことがあります。答えは「トポの写真が綺麗で、値段も魅力的だったから」。思わず笑いましたが、確かにそれだけの価値がある場所だと思います。

📍 アクセス 

ストラスブールから車で約3時間、ブザンソン(Besançon)から南へ約30分。最寄りの村はRureyで、駐車場から岩場まで徒歩約8分です。アプローチは整備されており、特に迷うことはありません。 

自転車でのアクセスも可能で、周辺の宿泊施設からサイクリングロード(véloroute)を使えば気軽に岩場まで来られます。ただしクライミング道具一式を持っての移動を考えると、やはり車が現実的です。 

赤茶けた砂岩のヴォージュ山脈でクライミングをしている私にとって、ルー川沿いに現れる白い石灰岩の壁は、毎回「別の世界に来た」という感覚をくれます。岩の色も質感も、ホールドの細かさも、何もかもが違う。ヴォージュとは異なる論理で読む必要がある壁が、ここには連なっています。

📚 クライミングトポ 

Escalade dans le Doubs

ドゥー県には実に42ものクライミングエリアがあり、以前はエリアごとにトポが分散していました。2022年に待望の一冊にまとめられ、Rurey はもちろんBaume-les-Dames, Escalade au Pays de la Loue など主要エリアをすべて網羅しています。

🎒 必要なクライミング道具 

ロープ: 70mで問題なく対応できます。壁の高さは22〜30mが中心です。 

クイックドロー: 15本あればほとんどのルートに対応できます(終了点用を含む)。

ボルト間隔は全体的に適切で、安心して登れる整備状態です。ただし一部セクターでは、ボルトとボルトの間が予想より遠く感じる箇所もあるため、ルートの下見は丁寧に行うことをおすすめします。 

終了点: ステンレス製のボルトと接着系アンカーで整備されており、終了点は連結済みです。全体的に状態は良好です。


📊 グレード感と岩質 

グレード感については、トポの記載と大きなズレは感じませんでした。ただし、Rureyは全体的にテクニカルで持久力が求められるルートが中心です。数字以上に「指への負担」を感じやすいエリアでもあり、初めて石灰岩を登る方は特にウォームアップを丁寧に行うことをおすすめします。 

初日に「石灰岩ってこんなに指が痛くなるクライミングだったっけ?」と思ったことを、今でも覚えています。 

岩質はジュラ山脈らしい石灰岩。カチ(réglettes)やマイクロカチ(microréglettes)を使ったテクニカルな登りが中心で、穴(trous)やコルネ(colonnettes)、フリクションを活かす場面も多くあります。セクターによって表情が異なり、「Orange」セクターのように脆いフレークが残る箇所もあるため、ホールドの確認は慎重に。 

「考えながら登る」クライミングが好きな方には、きっと刺さるエリアです。


🌤 クライミングシーズン 

ベストシーズンは春 (4〜6月) 秋 (9〜11月) です。 Rureyは南向きのエリアのため、夏は日差しが強烈になります。2018年8月に訪れた際は気温が30℃を超え、思うように登れなかった記憶があります。夏に訪れる場合は、早朝のスタートが必須です。 

逆に、冬や早春でも晴れた日には日差しが届きます。ただし2019年4月に訪れた際は曇り空、気温が9℃に届かず、岩が冷たくて指の感覚が危うくなるほどでした。南向きとはいえ、春先は防寒対策を忘れずに。

スイスアルプスやシャモニーへ行けない季節に、コンディションの良いジュラ山脈で登る。そんなスタイルのクライマーにとっても、魅力的な選択肢です。


🧗 実際に登ったエリア 

Rureyには7つのセクターがあり、合計93ルートが整備されています。グレード帯は5aから8cまでと幅広く、特に中・上級者向けのルートが充実しています。

7台・8台のルートが全体の6割近くを占めており(7台が35ルート、8台以上が22ルート)、Baume-les-Dames の Sous Buenとは対照的な、本格派エリアです。一方で6台のルートも31本あるため、中級者も十分楽しめます。 

ルートは全体的に垂壁からやや前傾壁が中心。カチをつなぐテクニカルなシーケンスが続き、持久力も問われます。「次のホールドをどう読むか」を考えながら登る時間が、このエリアの醍醐味です。

Nation arc-en-ciel セクター 

比較的小さなセクターですが、ラインが素直で登りやすいルートが揃っています。Nation arc-en-ciel (6a) は流れの良いムーブで、気持ちよく登れました。

Orange セクター 

私が初めて触れたセクターです。壁は比較的コンパクトで、石灰岩のクライミングスタイルを体感するのにちょうどよい入門的な位置づけです。ただし脆いフレークが残る箇所もあり、ホールドの確認は慎重に。 印象に残っているのは Euphorie (6a+)。「あぁ、これが石灰岩特有のクライミングだ」と素直に思えた一本で、個人的に初訪問者にぜひ触れてほしいルートです。


Parking セクター 

7b・7b+のルートが多く、上級者向けのセクターです。下部核心のショートルートが多い印象で、指への負担が大きく、コンディションの良い日に臨むことをおすすめします。

Cordée céleste セクター 

壁の高さは30mと、Rureyの中でも高さのあるセクターです。2019年4月、気温9℃に届かない寒空の下で登りました。指の感覚が怪しくなりながらも、仲間たちはテキパキとトライを重ねていました。 

La Cordée céleste (6b) は終了点前が意外と手強く、最後まで気を抜けない一本。Ecaille jamais à Rurey (7a+) は中間部の小さなハング越えが核心で、足の置き場を探るムーブが続きます。このグレード帯に慣れた上級者でも苦労していたルートで、ルートファインディングの面白さと難しさを同時に味わえます。 寒い日でも登れる??ただし、春先の訪問には防寒対策を忘れずに。


✍🏻 実際に登ったルートの詳細はこちら。 


🏡 宿泊・レストラン 

Rurey周辺の宿泊施設・レストラン情報は、同じドゥー県のクライミングエリア Baume-les-Dames のブログにまとめています。

最後に 

Rureyは、派手さよりも「深さ」で勝負するエリアです。カチをつなぐ繊細なムーブ、ルー川のせせらぎ、対岸に広がる牧草地。クライミング以外の要素も含めて、記憶に残る場所です。

猛暑の夏も、指がかじかむ春先も、それぞれの洗礼を受けてきました。次はコンディションの揃った秋に、じっくりと向き合いたいエリアです。

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