夏時間とともにやってきた「冬との別れ」
2026年の夏時間が始まった最初の日曜日。 ストラスブールでは、春の訪れを告げる恒例のカーニバル(Carnaval de Strasbourg)が開催されました。
地元の団体や音楽グループが街を練り歩くパレード(Cavalcade)がメインイベントで、沿道は仮装した子どもたちや家族連れで賑わいます。入場料は不要で、誰でも沿道から楽しめるのが魅力です。
Carnaval de Strasbourg 2026
過去には、強風での中止やパンデミックによる沈黙など、私たちは何度も「お預け」を食らってきました。今年も最高気温9度、今にも雨が降りそうな曇り空。けれど、風が穏やかだったおかげで、無事にパレードが行われたことに、まずはホッと胸をなでおろしました。
2026年のテーマ:「Les animaux fantastiques et légendaires」
今年のテーマは「Les animaux fantastiques et légendaires(空想と伝説の動物たち)」。
魔法の気球に乗って冒険に出た2人の子ども、ルイザとコムの物語をベースに、不思議な生き物や伝説の動物たちが次々と登場する、想像力豊かな演出が街を彩りました。
過去何度も見に来ていますが、今年のオブジェの作り込みには目を見張るものがありました。
特に圧巻だったのが、メカニカルな仕掛けを持つ巨大なドラゴンのような生き物。首をゆっくりと左右に振りながら練り歩き、気づけばその頭部がこちらに向かってじわじわと迫ってくる。思わず体がのけぞるような、あの距離感と迫力は、写真や動画では伝えきれないものがあります。どこかで見たことがあるようでいて、どこにもいないオリジナルの造形。翼を広げ街を進む姿は、サイズ感だけでなく、その「精巧な仕掛け」にこれまでにない高揚感を覚えました。
👉🏻 動きの迫力は、ぜひ動画でも確認してみてください。
伝統のスタート:午後3時11分
パレードのスタートは、今年も伝統通り午後3時11分。
これは、ライン川流域のカーニバルが11月11日の午前11時11分に開幕する習わしに由来しています。この「11」へのこだわりが、どこかユーモラスで、いかにもアルザスらしいと感じさせます。
時代とともに変わるもの、変わらないもの
2014年から通い続けている私にとって、少し変化を感じた部分もありました。
かつてのように前が見えなくなるほどの紙吹雪(コンフェッティ)や、沿道から「ボンボン!(お菓子を投げて!)」と叫ぶ熱狂的な声は、2020年以前に比べると少し控えめになった印象です。
それでも、腹の底に響くサンバのリズムは健在。
そして何より、精一杯の仮装をして目を輝かせている子どもたちの表情。これは、どんなに時代が変わっても変わることのない、この祭りの一番の光景だと思わされました。
楽しむ「不安定な春」の醍醐味
ストラスブールのカーニバルは、いつも天候との戦いです。
「わざわざ寒い中、見に行かなくても」と思う方もいるかもしれません。でも、この寒空の下で賑やかなパレードを見届けることは、地元の人々にとって「冬を追い出し、これから来る輝かしい季節を迎え入れる」ための、大切な儀式のような気がします。
冷えた体のまま、パレードの後に駆け込むカフェの暖かさ。 それも含めて、ストラスブールの春の始まりなのです。
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