梅の香り、凝灰岩、そして温泉 ♨️ 伊豆クライミングガイド - 初中級者向け全6エリア

伊豆は、クライマーにとって意外なほど豊かな場所です。東京から電車で90分ほど。この半島には、個性豊かな岩場がいくつも点在しています。 


巨大な凝灰岩の壁、海岸沿いの断崖、梅林に囲まれた岩場、そして1983年に日本初の5.12ルートが登られた歴史的な岩壁まで。初めて外岩に触れる人から、グレードの限界に挑むクライマーまで、誰もが自分のペースで登れる場所です。 

伊豆でのクライミング


私がここに通い始めたのは、もう15年以上前のことです。真冬の澄んだ空気の中で岩に触れた感覚、登り終えた夕暮れに浸かった温泉、港町で食べた金目鯛の煮付け。そういった記憶が、今もどこかに残っています。現在は伊豆を離れて暮らしていますが、伊豆でのクライミングを考える仲間から「どんな岩場なの?」と聞かれるうちに、いつか自分でも書き残しておきたいと思っていました。


情報は私が登っていた当時のものが中心のため、古くなっている部分もあるかもしれません。それでも、伊豆のクライミングエリアを初めて訪れるクライマーに向けて、アクセスから季節、エリアの詳細、宿と温泉まで書き残しておきたいと思いました。週末のクライミング計画に、少しでも役に立てば嬉しいです。

いつ行くか?季節について 

伊豆の大きな魅力のひとつは、ほぼ一年中登れることです。ただ、季節によってコンディションはかなり異なります。 

冬(12月〜2月) 

最もおすすめの季節です。気温は10〜15度前後、岩は乾いていてフリクションが効きます。南向きの壁が多く、日差しの中で快適に登れる日も多いです。週末になると多くのクライマーが集まり、静かな岩場に活気が生まれます。混雑はしますが、それもまた伊豆らしい冬の風景です。 

春(3月〜5月) 

気温が上がり始め、登りやすい季節です。ただし4月末から5月初旬のゴールデンウィークは、駐車場が満車になるほど混雑します。この時期に訪れるなら、平日を狙うか、早朝スタートを心がけてください。 

夏(6月〜9月) 

正直に言えば、暑くて登れない日が多いです。湿度が高く、気温が30度を超える日も珍しくありません。それでも、条件を選べば岩場に立てる日もあります。コツは日陰のエリアを選ぶことと、朝早く出発することです。城山の北壁(ワイルドターキーゴージ)のように、日が当たりにくいエリアなら、夏でも意外と登れることがあります。 

秋(10月〜11月) 

冬に次いでおすすめの季節です。空気が澄んで岩のコンディションが戻り、紅葉の中で登れることもあります。10月の伊豆は特に気持ちがいいです。

どうやって行くか?アクセス 

電車でのアクセス 

東京から伊豆へは、電車が使いやすいです。東海道新幹線(こだま・ひかり)を使えば、東京駅から三島駅まで約45〜55分。そこから伊豆箱根鉄道に乗り換えれば、修善寺まで約30分です。 


城山へは、伊豆箱根鉄道の大仁駅が最寄り駅です。徒歩で登山口まで約25分、南壁まではそこからさらに10分ほどです。


鷲頭山エリアへは、JR東海道線の沼津駅からバスで志下公会堂前下車、徒歩約30分です。 


湯河原幕岩は、伊豆のエリアの中で最も東京に近いです。東海道線で湯河原駅まで約90分、そこからバス(鍛冶屋行き)で約20分、幕岩公園までは徒歩25分ほどです。 


城ヶ崎へは、東京から伊東線を使って伊豆高原駅まで約2時間です。駅から岩場までは徒歩でアクセスできます。 


車でのアクセス 

複数のエリアを回りたい場合や、ギアを多く持ち込みたい場合は、車が断然便利です。東名高速道路を使えば、沼津インターまで約1時間半。そこから城山や鷲頭山へは30分以内でアクセスできます。週末の東名高速は渋滞しやすいので、早朝出発を強くすすめます。 現地での移動を考えると、三島や修善寺でレンタカーを借りる方法もあります。電車で移動し、現地で車を借りるスタイルは、荷物の多いクライマーには特に使いやすいです。


岩質について 

伊豆の岩場は、エリアによって岩質が異なります。半島が複数の火山活動によって形成されたことがその理由です。城山や鷲頭山は凝灰岩、城ヶ崎や湯河原幕岩は安山岩が中心で、岩の質感もルートの傾向もエリアごとに個性があります。各エリアの紹介でも触れていますので、あわせて参考にしてください。


クライミング道具とトポについて 

道具 

伊豆のほとんどのエリアはスポートクライミングが中心で、ボルトが整備されています。クイックドロー12〜16本、50mのロープがあれば大半のルートに対応できます。城ヶ崎 (シーサイド) のような長いルートでは60mのロープが安心です。 


トポ 

主要なエリアのルート情報は、各エリアの紹介ページにリンクを掲載していますので、あわせて参考にしてください。

伊豆大仁・城山

伊豆のクライミングといえば、まず城山の名前が浮かびます。狩野川のほとりに聳えるこの岩山は、南面から南西面に広がる巨大な凝灰岩の壁で知られています。高さ約200m、幅300m以上にわたる岩壁は、初めて目にした時、そのスケールに言葉を失います。私も初めて南壁の前に立った時、しばらく見上げたまま動けなかった記憶があります。


クライミングエリア

南壁 

城山の顔ともいえるエリアです。垂壁からスラブまで、バラエティ豊かなルートが揃っています。5.9〜5.11台のルートが充実しており、初めて城山を訪れるクライマーにはまずここをすすめます。私がクライミングを始めた頃、何度も通ったのもこの南壁でした。スラブに初めて触れたのもここで、フットワークの大切さをこの壁に教えてもらった気がしています。マルチピッチのルートもあり、壁の上部まで抜けると狩野川の流れと伊豆の山並みが広がります。


ワイルドボアゴージ(Wild Boar Gorge) 

南壁から約50分の山歩きで辿り着くエリアです。傾斜のある壁が続き、5.11〜5.13台のルートが中心です。アプローチに時間はかかりますが、プロジェクトに何度も通った記憶があります。冬のシーズンには多くのクライマーで賑わう、城山でも人気の高いエリアです。


チューブロック 

ワイルドボアゴージから二間バンドへの途中にある小さなエリアです。ウォームアップに使われることが多く、気軽に立ち寄れる場所です。


二間バンド 

チューブロックを抜けたところにある上級者エリアです。フォトジェニックな岩の造形で知られ、ここを訪れたクライマーの多くがSNSのアイコンや写真に使うほど印象的な場所です。登っていても、眺めていても飽きません。


北壁(ワイルドターキーゴージ) 

日が当たりにくく、夏でも比較的登りやすいエリアです。暑い季節や、混雑を避けたい時にも向いています。


おすすめルート 

ここでは私が実際にトライしたルートの感想を紹介しています。もちろんここで取り上げていないルートにも魅力的なものはたくさんありますので、参考程度に読んでいただければ幸いです。


南壁 

・アナザーステップ(5.9) 入門ルートです。スラブの基本が詰まっています。 

・鎌形ハングルート P1(5.10a) 最後のフェイス越えが楽しいです。5.10aを目標にしているクライマーにおすすめです。 

・タナバタノタナボタ(5.10c) 小さなハング越えが楽しいルートです。 

・ハートルート(5.10d) 南壁の看板ルートです。隣のブラウンシュガー(5.11a)と合わせて登れたら、南壁は卒業という感じです。 

・エキスカーション(5.10c) マルチピッチのルートとしておすすめです。城山の高度感と眺望を存分に楽しめます。


ワイルドボアゴージ 

・ジゴロ(5.11b/c) 核心部のホールドが読みにくいです。 

・ジャンバラヤ(5.11c) 核心部の右手カチが遠いです。 

・OVERDRIVE(5.11d) ワイルドボアゴージの看板ルートです。


この3本はクライマーの間で「ワイルドボア5.11台三部作」と呼ばれています。それぞれ個性が異なり、5.11台を登り込みたいクライマーには、ぜひ続けてトライしていただきたいルートです。


チューブロック 

・ストーンフリー(5.10c) 大人気のウォームアップルートです。最後のムーブが楽しいです。


二間バンド 

・フェイト(5.12a) 現在も挑戦中のプロジェクトです。とにかくフォトジェニックなルートで、岩の造形と動きが合わさった、城山らしい一本です。


ひとつの夜の記憶 

城山の思い出の中で、今でも鮮明に残っている場面があります。インナーウォール4に初めて行った日のことです。最後のクライミングを終えた後の撤収作業、クイックドローの回収にもたついているうちに、気がついたら日が暮れていました。焦りながら壁を降りると、眼下には狩野川沿いに広がる夜景が静かに光っていました。予定外の時間に、予定外の景色を見ました。あの夜のことは、今でも忘れられません。


アクセス 

電車の場合 

伊豆箱根鉄道大仁駅下車、徒歩約25分で登山口です。南壁まではそこからさらに10分ほどです。ワイルドボアゴージへは登山口から約50分の山歩きが必要です。 

車の場合 

南壁へは神島橋から県道129号を通り、城山登山口の駐車場をご利用ください。ワイルドボアゴージへは南壁を経由せず、神島橋から林道を進んだ峠駐車場が最もスタンダードなアクセスです。 


トポ情報 

ルート情報はclimbing-net.comで公開されています。

湯河原幕岩 

伊豆のクライミングエリアの中で、最も東京に近い場所がここです。幕山の中腹に広がる幕岩は、梅林の中に溶け込むように岩場が点在しています。2月から3月にかけては、約4,000本の梅の木が咲き誇り、クライミングをしながら梅の香りに包まれるという、ここでしか味わえない体験ができます。岩場のアプローチも短く、駐車場から歩いてすぐにルートに取り付けられるのも大きな魅力です。 


城山の大壁とは対照的に、幕岩は全体的にコンパクトなエリア構成が特徴です。傾斜は80〜90度、ルート数は370本以上です。グレード帯は5.8から5.13台まで揃っていますが、5.10台が154本と最も充実しており、初級者から中級者前半のクライマーが最も楽しめるエリアです。カチホールドを使った技術的なムーブが要求される「短く難しい」ルートが多く、パワーとテクニックの両方が試されます。


私がよく登っていたエリア

桃源郷 

幕岩を代表するエリアのひとつです。名前の通り、別世界に迷い込んだような雰囲気があります。入門グレードのルートが充実しており、初めて幕岩を訪れるクライマーにまずおすすめしたい場所です。 

アリババの岩 

幕岩の「カチ」の洗礼を最初に受けるエリアです。ジムの大きなホールドに慣れた体に、冴えたカチの感触が新鮮に刺さります。 

希望峰 

幕岩では珍しく長いルートを楽しめるエリアです。開放感があり、初級者後半から中級者前半のクライマーにとって挑戦しがいのあるルートが揃っています。 

マコロンランド 

短いながらも凝縮されたムーブが続くルートが多いです。カチ系のホールドが好きなクライマーにはたまらないエリアです。 


正面壁 

幕岩の中で最もスケール感があるエリアです。私が伊豆をメインに登っていた頃は登攀禁止で、指をくわえて眺めるしかありませんでした。現在は登れるようになっていますので、ぜひ足を運んでください。


おすすめルート 

ここでは私が実際にトライしたルートの感想を紹介しています。参考程度に読んでいただければ幸いです。 

桃源郷 

・サンセット(5.10a) 幕岩入門&ウォームアップにぴったりの一本です。 

・夕暮れ時(5.10b) グレード以上に手強く感じる、いわゆる「激辛」ルートだと思います。 

 

アリババの岩 

アリババ(5.10b) 傾斜の強い壁にカチが続く、幕岩初心者が洗礼を浴びるルートです。ジムのホールドとの違いを体で実感できる一本です。


希望峰 

・シャクシャイン(5.10d) 湯河原幕岩で最も人気のルートです。幕岩では珍しく長く、出だしから中間部過ぎまでテクニカルなムーブが続きます。上部もホールドはありますが侮れません。このルートが登れたら「初級者卒業」という感じの一本です。 

・帰還兵(5.10c) わたしはまだ完登できていませんが、大味のムーブが楽しいです。いつかきっちり仕留めたい一本です。 


マコロンランド 

・ゲイシャワルツ(5.11b) 幕岩で完登できた中で一番のおすすめルートです。右の壁を使わないという限定はありますが、カチホールドを繋ぎながら右へ左へとワルツを踊るようなムーブは、幕岩らしさを余すことなく体験できます。


梅の季節の記憶 

幕岩には、梅の花が咲く季節にも、梅雨前の葉が茂る季節にも訪れたことがあります。どちらの幕岩も好きですが、やはり特別なのは梅の季節です。岩に向かいながら梅の香りが漂ってくる、あの感覚はここにしかありません。


アクセス 

電車の場合 

JR東海道線湯河原駅下車。バス(鍛冶屋行き)で約20分、幕岩公園バス停下車。そこから幕岩公園まで徒歩約25分です。 

車の場合 

幕岩公園の駐車場を利用します。駐車場からクライミングエリアまで徒歩数分と、アプローチが非常に短いのが嬉しいです。 


トポ情報 

ルート情報は climbing-net.com で公開されています。

城ヶ崎(Jogasaki) 

伊豆半島の東海岸、溶岩が海に流れ込んでできた断崖に広がる城ヶ崎は、日本のクライミングエリアの中でも別格の存在感を持つ場所です。高さ20〜30mの安山岩の岩壁が海岸線に沿って続き、波の音を聞きながら登るという体験は、他のどのエリアとも違います。 

ただ、正直に言っておきたいことがあります。私が伊豆をメインに登っていた頃、城ヶ崎は憧れの場所ではありましたが、まだ実力が届きませんでした。何度か足を運び、その圧倒的な雰囲気を体で感じることはできましたが、ルートを登り込むには至りませんでした。だからこそここでは、エリアの雰囲気と基本情報を中心にお伝えし、実際に登った方の記録もあわせて参考にしていただければ幸いです。 


クライミングエリア

シーサイドエリア 

ボルトが整備されたスポートクライミングが中心のエリアで、城ヶ崎といえばまずここを指すことが多いです。海を正面に見ながら登れるロケーションが圧巻で、初めて城ヶ崎を訪れるならまずここをおすすめします。5.11台から楽しめますが、城ヶ崎の本領は5.12台以上の上級者ルートにあります。 

その他のクライミングエリア

海岸線に沿って「ファミリーエリア」など、クラッククライミングが楽しめるエリアが点在しています。私は一度だけ、初心者がクラック練習をするのに最適な「フナムシロック」に足を運んだことがあります。後にも先にも、あれが私にとって唯一のクラッククライミングエリア体験でした。「フナムシ」ではトップロープではありましたが、フラッシュダンス(5.9)の難しさが今でも忘れられません。


おすすめルート 

城ヶ崎は私自身の経験が限られているため、5.12a以上を狙っているクライマーには参考にならないかもしれませんが、私の経験を率直に書いておきます。

シーサイドエリア 

・風に吹かれて(5.11a) シーサイドエリアの入門ルートです。ハング越えのムーブが楽しいです。 

・タイトボーイ(5.10d) ホールドはあるのに、じわじわと傾斜が増してパンプが止まらないです。城ヶ崎らしい洗礼を浴びるルートです。 

・ホワイトシャーク(5.11c) 最後にトライしたのは2011年の1月です。月日が経つのは早いものです。今トライしたらどんな感じだろう、とSNSに流れてくる写真を見ながら、ふと思うことがあります。


海と岩の記憶 

初めて城ヶ崎のシーサイドエリアに向かった日のことを、今でも覚えています。アプローチは海岸沿いを歩いた後、懸垂下降で岩場の取り付きに降ります。降りたからには、帰るためには登り返さなければなりません。当時まだ経験の浅かった自分には、その事実が重くのしかかりました。 

波が岩壁の根元に打ち寄せ、潮の香りが漂う中、クライマーたちが黙々と壁に向かっていました。登れなかったことが悔しかったです。でも同時に、いつか実力をつけてここに戻ってきたいという気持ちも強く残りました。あの気持ちは、今でも変わっていません。


アクセス 

電車の場合 

JR伊東線伊豆高原駅下車。シーサイドエリアへは駅から徒歩約20〜25分です。 

車の場合 

城ヶ崎海岸の駐車場を利用します。駐車場からシーサイドエリアへは徒歩数分でアクセスできます。 


トポ情報 

ルート情報は climbing-net.com で公開されています。

鷲頭山

静岡県沼津市、駿河湾を見下ろす標高392mの山に位置する鷲頭山は、日本のフリークライミング史において特別な意味を持つ場所です。1983年1月、この岩場で日本初の5.12ルート「ジェット」が登られました。当時、デシマルグレードが明確に提示されたルートが国内にほとんど存在しなかった時代に、メイズ(5.10d)、ETハング(5.11a)、コズミックダンサー(5.11d)、そしてジェット(5.12a)という粒揃いのルートが一気に登場しました。グレードを体で確かめるために、全国からクライマーが鷲頭山に集まったといいます。鷲頭山は、日本のフリークライミング史において欠かせない場所です。 


岩質は凝灰岩、傾斜は80〜90度のオールドスタイルです。春には桜が咲き、岩場から駿河湾を眺めながら登れます。混雑した観光地とは無縁の、どこかローカルな空気が今も漂っています。


クライミングエリア

メインエリア 

鷲頭山の中心となるエリアです。歴史的な名ルートが揃い、日本クライミングの歴史を体感できる場所です。 

カッチンロック・サンキューロック・ジャガイモ岩 

メインエリアを取り囲むように点在する小エリアです。それぞれ個性があり、ウォームアップから本番まで一日を通して楽しめます。


おすすめルート 

ここでは私が実際にトライしたルートの感想を紹介しています。参考程度に読んでいただければ幸いです。 

・マンボウ(5.10a) アップルートとして使われることが多いですが、これがなかなか手強いです。5.10aというグレードに油断すると足をすくわれる、鷲頭山らしい洗礼を浴びるルートです。 

・北嶺ダイレクト(5.10a?) 表記グレードを素直に信じてはいけないルートです。トライ中にまさかの蛇と遭遇したことがあり、以来このルートには特別な思い出があります。 

・ETハング(5.11a) 1983年に登られた歴史的ルートのひとつです。オールドスタイルの凝縮された一本です。 

・コズミックダンサー(5.11d) 寝た傾斜に並ぶカチカチのホールドが、じわじわと体を追い詰めます。まだ完登はできていませんが、このルートの痺れるようなクライミングは、今でも忘れられません。  


クライミング前に、まさかのでんぐり返し

鷲頭山には、笑えるような、でも忘れられない記憶があります。ある日、駐車場から岩場へ向かう途中、落としたものを拾おうとした瞬間、ザックが頭の上を越えてそのままでんぐり返し。たまたま居合わせた地元の漁師のおっちゃんに、「兄ちゃん、クライミング前にこけてどうするの!」と笑われました。鷲頭山がいかにローカルで、地元の生活に根ざした場所であるかを、体を張って実感した瞬間でした。 


アクセス 

電車・バスの場合 

JR東海道線沼津駅からバスで志下公会堂前下車、徒歩約30分です。 

車の場合

沼津インターから約30分です。岩場近くの駐車場を利用してください。 


トポ情報 

ルート情報は climbing-net.com で公開されています。

ローカルエリア:亀の甲岩・クレヨンウォール 

伊豆のメジャーエリアを登り尽くした頃、あるいは時間に余裕ができた時に、ぜひ足を伸ばしてほしい場所があります。亀の甲岩とクレヨンウォール。どちらもガイドブックにはほとんど載っていない、地元クライマーだけが知るような小さな岩場です。だからこそここで紹介したいと思います。 


亀の甲岩 

沼津アルプスの徳倉山(256m)と鷲頭山(392m)のちょうど中間あたり、内陸側に位置するエリアです。ちなみにクライミングエリアとしての鷲頭山は海側に位置していますので、同じ山域でも雰囲気はかなり異なります。 

ルートは初級から中級グレード帯が中心で、小さなエリアながらどのルートにもしっかりとしたムーブがあり、何度訪れても飽きません。週末でも混雑とは無縁で、地元のクライマーたちがマイペースに登る姿がいかにもローカルらしいです。 

そしてこのエリアには、わざわざ訪れる価値があると言われる一本があります。「むかでの時めき(5.12b)」です。私はまだ完登できていませんが、このルートのためだけにここに来るクライマーがいるというのも納得できる、そんな存在感のあるルートです。 


クレヨンウォール 

亀の甲岩へ向かう途中にある、中級者向けの小さな岩場です。木陰に恵まれた壁で、真夏でも比較的快適に登れます。ルートはそれほど多くありませんが、どれも個性があって飽きません。誰もいない静けさの中、木陰で黙々と登った記憶があります。こういう場所を知っているかどうかで、伊豆の夏の過ごし方はずいぶん変わってきます。 


アクセス 

どちらのエリアも、大井集落の登山道から入ります。詳しいアクセス情報は、地元クライマーからの口コミや最新情報を参考にしてください。


旅の実用情報 

宿・キャンプ場 

伊豆は温泉地として知られているだけあって、宿の選択肢は豊富です。クライミングエリアごとに拠点となる宿泊地を選ぶと、移動が楽になります。

修善寺温泉周辺(城山・鷲頭山エリアの拠点として)

修善寺は伊豆最古の温泉地として知られ、旅館から民宿、ゲストハウスまで幅広い選択肢があります。温泉街の雰囲気も風情があり、クライミングの拠点としてだけでなく、のんびりと過ごすにも最適です。 

大仁周辺(城山エリアの拠点として)

城山に最も近いエリアです。シンプルな宿が多く、連泊して城山に通うスタイルに向いています。 

湯河原温泉周辺(湯河原幕岩エリアの拠点として)

湯河原は温泉と海産物の両方が楽しめる便利な場所です。幕岩への日帰りアクセスも良く、少し足を伸ばせば熱海まで出られます。 

伊豆高原周辺(城ヶ崎エリアの拠点として)

伊豆高原にはペンションや小さなホテルが多く、城ヶ崎への徒歩アクセスも可能で、ゆったりとした滞在に向いています。 

キャンプ場について 

伊豆にはキャンプ場もいくつか点在しています。私自身はキャンプでの滞在経験はありませんが、大仁周辺や城ヶ崎周辺にはクライマーにも使いやすい施設があります。「城ヶ崎 キャンプ場」「大仁 キャンプ場」などで検索すると最新情報が得られます。


温泉

登り終えた後の温泉は、伊豆旅行の楽しみのひとつです。日帰り入浴が可能な施設も多く、500〜2,000円程度で利用できます。修善寺温泉、湯河原温泉、熱海温泉など、エリアごとに温泉地が点在しています。特に修善寺温泉は、竹林に囲まれた静かな雰囲気が印象的で、クライミングの疲れを癒すには最高の場所です。地元の人が通う小さな共同浴場も、機会があればぜひ試してみてください。


食事・グルメ 

伊豆は三方を海に囲まれた半島だけあって、魚介類が抜群に美味しいです。 

金目鯛(キンメダイ) 

伊豆を代表する魚です。煮付けにして食べるのが地元スタイルで、甘辛いタレとふっくらした白身の組み合わせは、一度食べたら忘れられません。下田や稲取の港町には、新鮮な金目鯛を提供する食堂が並んでいます。 

湯河原・熱海の海鮮 

湯河原や熱海では、港で水揚げされた新鮮な魚介類が楽しめます。刺身の盛り合わせや海鮮丼は、クライミング後の食事として最高です。

修善寺周辺の郷土料理 

修善寺周辺では、山の幸を使った郷土料理も楽しめます。わさびは伊豆の名産品です。本わさびをその場で擦っていただける店も多く、ぜひ試してみてください。 

温泉地の食事

どの温泉地にも、地元の食材を使った定食屋や食堂があります。値段も手頃で、地元の雰囲気を味わいながら食べられるのがいいです。


グレードについて 

鷲頭山や湯河原幕岩のようなオールドスタイルのエリアは、表記グレードより辛く感じることが多いです。最初は一段階下のグレードから始めることをおすすめします。


まとめ 

このブログを書きながら、伊豆で過ごした日々のことを何度も思い出しました。城山の夜景、幕岩に漂う梅の香り、鷲頭山で笑われたでんぐり返し、城ヶ崎の岩壁の前で感じた緊張感。どれも、岩場でしか生まれない記憶です。 

伊豆は、クライミングのためだけに存在する場所ではありません。温泉があり、海の幸があり、富士山が見える日があります。登れた日も、登れなかった日も、その全部が旅になります。一度訪れれば、また戻りたくなる場所だと思います。私がそうであるように。 

情報は私が登っていた当時のものが中心です。古くなっている部分もあるかもしれませんが、週末のクライミング計画に、少しでも役に立てば嬉しいです。 

伊豆の岩場で、いつかまたお会いしましょう。

私が完登したルートの記録(伊豆を含む)は 👉🏻 こちらから ご覧いただけます。

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