光に包まれる絵本のような夜🎄コルマールのクリスマスマーケット2025

冬の冷たい空気が肌を包みはじめる頃、フランス・アルザス地方の小さな街・コルマールは、一年の中で最も美しい季節を迎えます。石畳の路地、カラフルな木組みの家々、そして運河沿いに並ぶ明かりの数々。昼間の穏やかな街並みが、夜になると一変し、まるで“光の物語”が始まるような静けさと温もりに包まれます。

2025年のコルマール・クリスマスマーケット(Marchés de Noël de Colmar)は、11月25日(火)から12月29日(月)まで開催されます。コルマール・クリスマスマーケットは「l’âme de Noël(クリスマスの心)」として知られています。この言葉のとおり、街全体が人々の優しさや思い出で満たされる、そんな時間がゆっくりと流れています。

中世の街に灯る光 “アルザスの小さな都” コルマール

フランス北東部、アルザス地方の中心に位置するコルマールは、「アルザスワインの首都」として知られる美しい街。隣町ストラスブールから列車でわずか30分と、アクセスの良さも魅力です。 


中世からルネサンス期にかけて発展した旧市街には、当時の建築がそのまま残り、歩くだけで時を遡ったような感覚になります。クリスマスマーケットの季節になると、この歴史ある街並みに無数の灯りがともり、静かな夜に暖かな彩りを添えます。 

特に夕暮れ時、日が沈み、通りのあちこちでイルミネーションが点き始める瞬間は、息をのむ美しさです。空気が少しひんやりして、街全体が柔らかな光に包まれる。その情景こそ、コルマールが“絵本のような街”と呼ばれる理由です。 


街を歩くたびに、物語が始まる 

コルマール旧市街には6つのクリスマスマーケットが広がり、それぞれが異なる雰囲気を持った、約200軒ものシャレー(木造の出店)が並びます。

ドミニコ広場(Place des Dominicains) 

マーケット巡りの始まりにふさわしい場所。古い教会を背景に並ぶ60軒ほどの木造シャレーには、手づくりのオーナメントやキャンドル、温かなアルザスのグルメが並びます。 通りの明かりが建物の窓に反射して、まるでろうそくの灯のように優しく揺れるのが印象的です。

旧税関広場(Place de l’Ancienne Douane)とコイフス(Le Koïfhus)

街の中心に位置するこの広場は、最も写真映えするスポットのひとつ。石橋の向こうにある「La maison du Pèlerin」や「シュヴェンディの噴水」など、どこを切り取っても絵になります。特に夜のイルミネーションは、幻想的な雰囲気に包まれます。 


旧税関「Le Koïfhus」の中では、地元の職人たちが丁寧に仕上げた工芸品や装飾品を販売。木の香りに包まれた空間には、温もりと時間の積み重ねを感じます。夜になると建物の窓が黄金色に輝き、まるで静かな物語のワンシーンのようです。 

プティット・ベニス(Petite Venise)―絵本の世界そのもの

コルマールといえばやはりここ。運河沿いに立ち並ぶ木組みの家々が、水面に映る光でまばゆく輝くエリアです。昼間は可愛らしい街並みが魅力ですが、夜は息をのむほど幻想的。静かな水面に映るイルミネーションは、見る人それぞれの心に小さな思い出を残してくれます。 


クリスマスの夜、ここを歩いていると、不思議と足を止めてしまう瞬間があります。誰かの笑い声やグラスの音、屋台から漂うスパイスの香り。それらがすべて、冬の街の“音”として溶け合っていきます。

水面に響く歌声:Les enfants chantent Noël sur les barques 

そして、プティット・ベニスの夜には、もうひとつ忘れられない光景があります。「Les enfants chantent Noël sur les barques」子どもたちがクリスマスソングを歌いながら、運河をゆっくり進む“合唱ボート”す。 私が見たのは、夜の冷たさが深まる17時半過ぎ、風もなく、凍えるような寒さは感じない、しんと澄んだ夜でした。


遠くから小さな灯りが水面に揺れながら近づいてきた舟がある地点に止まると、その場でクリスマスの歌を届けてくれました。素朴な声が重なり合い、その歌声が静かな運河にふわりと響く瞬間。一帯の空気が、まるで一枚の“冬の絵本”のページのように感じられました。大勢いた観客たちも皆、声を潜めて耳を傾けていました。 


そして最後の5隻目には、サンタクロースが立って乗っていました。もちろん大人のサンタですが、黄金色の光に包まれながら運河を進む姿は、どこか本物の“クリスマスの精”のようでもあり、観客から小さな歓声が上がっていました。 


華やかなショーというより、“静かな街にそっと灯る心温まる時間”といったほうがふさわしい、そんな、コルマールならではの特別なひとときでした。

フォンテーヌ・レッセルマン周辺(Fontaine Roesselmann) 

プティット・ベニスの近くにある小さな広場。規模は控えめながら、個性的な工芸品やアーティストの作品が並び、落ち着いた雰囲気です。 


観光客の多いメインストリートから少し離れているので、穏やかに散歩を楽しむのにちょうどよいエリア。ホテル「Le Maréchal」の前を通ると、通り全体がやわらかな光で包まれています。

「ハウルの動く城」の舞台にもなったプフィスタの家(Maison Pfister) 

旧市街の中でもひときわ目を引くこの建物は、ジブリ映画『ハウルの動く城』のモデルとしても知られています。昼間も多くの観光客が訪れますが、夜の姿はまた格別。木組みの外観と、正面に飾られたクリスマスツリーが、どこか懐かしい温かさを感じさせます。

夜の散策を楽しむために

マーケットを巡るなら、日が沈む少し前の時間から歩き始めるのがおすすめです。昼の彩りと夜の光、その両方を楽しめるからです。 


広場では温かいワイン(Vin chaud)や、アルザス名物のブレデル(Bredle)というクッキーも販売されています。冷えた手を包みながら歩けば、自然と笑顔がこぼれる。そんな小さな幸せがこの街の魅力です。 

また、駅から旧市街に向かう途中の「Place Rapp」では、観覧車やメリーゴーランドが楽しめる「Noël Féérique」も開催されています。家族連れや軽食を楽しみたい方にぴったりですが、こちらはメインの「Marchés de Noël de Colmar」とは別のエリアなので注意してください。


静けさの中に感じる“冬のあたたかさ” 

コルマールのクリスマスマーケットの魅力は、派手さではなく、街全体がひとつの物語のように息づいているところにあります。夜風に混じる焼き菓子の香り、木組みの家の窓からこぼれる灯り。それらすべてが、訪れる人の心をやわらかく包み込みます。 


この街の冬には、“にぎわいの中にある静けさ”があります。歩いているだけで、なぜか心が落ち着いていく。そんな感覚に出会えるのも、コルマールのクリスマスマーケットならではの魅力です。訪れた夜、ふと空を見上げると、街の明かりが雪雲を淡く照らしていました。その光が、まるで「また来年もおいで」と語りかけているように感じたのを覚えています。

まとめ:また訪れたくなる、冬の物語を 

コルマールのクリスマスマーケットは、訪れる人を中世の街の温もりと光の世界へ誘います。華やかさの中にある穏やかさ、にぎわいの中にある静けさ。そのバランスが、この街を特別な場所にしています。 


初めて訪れる方も、きっと忘れられない夜になるはずです。光と香り、そして人々の笑顔が紡ぐコルマールの冬。どうぞ心のままに歩いて、自分だけの“物語の一場面”を見つけてみてください。 


コルマールのクリスマスマーケット 2025 の様子は動画 👉🏻 Balade au Marché de Noël de Colmar 2025 にまとめています。

ストラスブールのクリスマスマーケット2025の様子は 👉🏻 「ストラスブール クリスマスマーケット2025|原点回帰の冬、アドベントリースが灯す愛と平和」 にまとめています。

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