フランスワインと聞くと、なんだか難しそうに感じませんか? 「ボルドー」や「ブルゴーニュ」という名前は聞いたことがあっても、どれを選んだらいいか分からない…という方もいらっしゃるかもしれません。でも、フランスの北東部にあるアルザス地方 (Alsace) には、もっと気軽に楽しめる、魅力的なワインがたくさんあります。今回は、ワイン初心者の方でも安心して楽しめるアルザスワインの魅力をご紹介いたします。
ワイン選びの基本は「美味しい」と感じる気持ちを大切に!
ワイン選びで一番大切なことは… 「ご自身が美味しいと感じること」です。難しく考える必要はありません。有名な銘柄や専門家のおすすめも参考になりますが、「これ、なんだか美味しそう!」と直感で選んでみるのも良いでしょう。 ワインと料理が出会い、お互いを引き立て合い、口の中で最高のハーモニーを奏でる瞬間。それこそがペアリング (マリアージュ) の醍醐味です。アルザスワインは、そんな素晴らしい体験を気軽に楽しめる、とっておきのワインなのです。
アルザスはどんなところ?
アルザスは、フランスの北東部、ドイツとの国境近くに位置する地域です。ライン川の西側に広がる丘陵地帯で、夏は比較的涼しく、日照時間が長いのが特徴です。
この気候のおかげで、ブドウはゆっくりと時間をかけて成熟し、香り高く繊細な味わいのワインが生まれます。また、アルザスのワインボトルは、スリムで背の高い“フルート型”。これも他のフランスワインとは一味違う、アルザスらしい個性的なポイントです。
アルザスワインはどんな味?
アルザスでは、なんとワインの約90%が白ワインです。しかも、ワイン名にはブドウ品種の名前がそのまま使われた「モノセパージュ」というスタイルが多いのです。(例:「Riesling(リースリング)」や「Pinot Blanc(ピノ・ブラン)」)
主要な7つのブドウ品種をチェックしてみましょう!
・リースリング (Riesling): すっきりとした辛口、キレのある酸味が特徴です。 *
・ピノ・ブラン (Pinot Blanc): 柔らかくバランスの良い味わいです。
・シルヴァネール (Sylvaner): 軽やかで飲みやすく、普段飲みにぴったりです。 *
・ミュスカ・ダルザス (Muscat d’Alsace): 華やかな香りがたまらない! アスパラガス料理との相性抜群です。
・ピノ・グリ (Pinot Gris): ややコクのある芳醇なタイプです。
・ゲヴュルツトラミネール (Gewurztraminer): ライチのようなエキゾチックな香り。甘口のワインも多いです。
・ピノ・ノワール (Pinot Noir): アルザスで唯一の赤ワイン用品種です。
「白ワインは甘いのでは?」と思っている方もいらっしゃるかもしれませんが、実は辛口の白ワインもたくさんあります。食事に合わせやすいものが豊富ですので、ぜひお試しください。
アルザスワインと料理のマリアージュを楽しみましょう!
アルザスのワインは、どれも食事に寄り添いやすいのが魅力です。現地の郷土料理との相性は、言うまでもありません。
・アスパラガス:ミュスカ・ダルザス(Muscat d’Alsace)
・シュークルート (発酵キャベツとソーセージの煮込み):リースリング、ピノ・ブラン、シルヴァネール
・タルト・フランベ (薄焼きピザ風):ピノ・ブラン
チーズとの相性も抜群です。アルザスの名物チーズ「マンステール」には、少し甘みのあるシルヴァネールがよく合うのです。少し上級者向けには、アルザスの蒸留酒「マルク・ド・ゲヴュルツトラミネール (Marc de Gewurztraminer)」と合わせるのも面白いかもしれません。
いろんな顔を持つアルザスワイン
クレマン・ダルザス (Crémant d’Alsace): シャンパンと同じ製法で作られる、高品質なスパークリングワインです。普段の食事にも気軽に楽しめるのが嬉しいですね! 主にピノ・ブランが使われています。
アッサンブラージュ (Assemblage): アルザスワインは基本的に「モノセパージュ」ですが、複数の品種をブレンドしたワインもあります。代表的なのは、気軽に楽しめるカジュアルブレンドのエーデルツヴィッカー (Edelzwicker)や、リースリングやゲヴュルツトラミネールなどを使った上質タイプのジャンティ(Gentil)です。
甘口・貴腐ワイン: デザートワインとして知られる極上の甘口ワイン。ヴァンダンジュ・タルディヴ(Vendanges Tardives / VT)は遅摘みブドウから造られる自然な甘口、セレクション・ド・グラン・ノーブル(Sélection de Grains Nobles / SGN)は貴腐菌のついたブドウを選別した極甘口です。特別な日の一杯におすすめです。
テロワールを感じるということ
「テロワール」という言葉をご存知でしょうか? 土地の風土や文化、気候を指す言葉ですが、アルザスでは、料理とワインが同じ土地のもの同士だと、とびきり美味しくなるのです!
例えば、シュークルートを召し上がる際にはアルザスのリースリングを合わせてみてください。この“地元同士の組み合わせ”を試すだけで、食卓がぐっと華やぎます。
もちろん、ルールに縛られる必要はありません。リースリングは、キリッとした高い酸と力強いミネラル感が特徴ですから、 寿司・刺身、魚の塩焼き、白身魚やエビの天ぷら、肉じゃが (和風) といった、日本の家庭料理にも意外と合うのです。すっきりしたアルザスの辛口白ワイン、ぜひお試しください。
まとめ:アルザスワインは「気軽に楽しむフランスワイン」
アルザスのワインは、ボルドーやブルゴーニュのような格式ばったイメージとは違い、肩の力を抜いて楽しめるのが魅力です。
透明感のある味わいと、花のような香り。料理と合わせれば、その美味しさはさらに広がります。
もし、ワインショップやスーパーでアルザスワインを見かけたら、ぜひ手に取ってみてください。きっと「こんなに飲みやすいのに奥深い!」と、新しい発見があるはずです。アルザスワインで、いつもの食卓をもっと豊かに彩ってみませんか?
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