ストラスブールから最もアクセスしやすい中上級者向けのクライミングエリアといえば、Kronthal です。バスでも気軽に行けるこのエリアには、7台以上のルートが豊富に揃っており、ストラスブール在住のクライマーなら一度は訪れたことがある定番のスポットです。その Kronthal で、私にとって特別な意味を持つルートが Jour de faîte (6c+) でした。
初めてのKronthal、そして初めての出会い:Jour de faîte (6c+)
このルート Jour de faîte (6c+) に出会ったのは、私がフランスに渡ったばかりの頃です。クライミングジムに通い始め、少しずつ仲間もでき始めた時期でした。そんなある日、ジムで声をかけてくれたのが、ストラスブールに1ヶ月だけ滞在していたアメリカ人クライマーのTさんでした。雨の続く日々のなか、「晴れたら外岩へ行こう」と約束し、ようやく訪れた晴天の週末、私にとっても初めての Kronthal でクライミングでした。車を持たない私たちは、公共交通機関でアクセスしました。バスを降りたときの高揚感、乾いた空気、そして真夏の太陽 - すべてが鮮明に記憶に残っています。
Kronthal : Jour de faîte (6c+)
Jour de faîte (6c+):核心の“ライン取り”を見極めるまで
この日、私たちは数本のルートを登りました:
Marrons glacés (6b+) lead-TO
Les malheurs de Sophie (6b+) FL
Sévices sans fin (7a) TR
Jour de faîte (6c+) ??
中でも Jour de faîte は、後に何年もトライすることになる“宿題ルート”になりました。当初は、6本目のボルト (緑) をクリップした後、左側のクラック沿い (黄色) を抜けるラインを取っており、これが正規のラインだと思い込んでいました。けれど、このラインは 6c+ にしては明らかに易しく、のちに右のより直登ライン (オレンジ) こそが本来のルートだと気づずきました。
6本目のボルト (緑色) をクリップした後からが核心:
右手でガバを取り、
左足をできるだけ高く上げ、
遠くにあるホールドを2本指で耐えて保持、
体を引き寄せて、
ランジで右手をさらに高いホールドへ!
と言うムーブでした。ムーブは分かっていても、2本指ホールドで耐えるのが本当に難しい…。何度もトライしてはフォールの繰り返しでした。
Kronthal : L’art d’accommoder les restes (6c)
一時中断、そして“浮気”ルートとの出会い:L’art d’accommoder les restes (6c)
2024年に入り Jour de faîte はあまりにも歯が立たないと言う理由でトライを一時休止し、気分転換に取り組み始めたのが、ほとんど誰も登っていないマイナーライン:L’art d’accommoder les restes (6c) でした。核心は最後のトラバースセクションです。ヒールフックを効かせ、サイドプルでバランスを取りながら抜けるムーブがボルダリング的でとても面白いルートでした。最近ようやく 13便目で無事完登することができました!この成功が、自信の回復にもつながりました。
そしてついに Jour de faîte (6c+) 完登!
改めて Jour de faîte に戻り、気持ちも新たにトライを再開しました。
この日1便目はやはり核心でフォール。ここで思い切ってムーブを見直しすることにしました。すると、体を軽くひねり、小さなルーフ下にあるホールドに右足をアウトサイドエッジで効かせることで、あら不思議!今まで届かなかったあの遠いホールドがスタティックに取れるようになりました!「これまでのランジの試みは何だったんだ…!」と驚きつつ、2便目(通算20便目)で念願の完登!長年のモヤモヤが一気に晴れ、「やっぱりクライミングはムーブ解析がすべてだな」と改めて実感した瞬間でした(……毎回思ってるけど!😅)
Le marquis de sable (6c) が終わって、Kronthalで (6c/6c+) グレードをトライしたい方はぜひこのルートを!😄
Jour de faîte (6c+):ライン取りとムーブ解析が楽しめる好ルート。保持力と工夫が求められる核心が魅力。
L’art d’accommoder les restes (6c):登っている人はほとんどなく、落ち着いてトライできる“穴場ルート”。最後のトラバースムーブが楽しい!
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