先日、ペツル社 (Petzl) の新作ビレイデバイス「ネオックス (NEOX)」の体験会がホームクライミングジムで開催され、参加してきました！2024年に発売されたばかりのネオックスは、ブレーキアシスト機能を備え、従来の「グリグリ (GRIGRI)」と比べてスムーズなロープ操作が魅力と評判です。ここでは、実際にネオックスを使用してみた 個人的な感想を、グリグリとの違いを交えながら詳しくお伝えします。
ネオックス (NEOX)とは？
ネオックスは、ペツルが新たに開発したブレーキアシスト機能付きビレイデバイスで、特徴はロープ操作のスムーズさとクライマーが突然フォールした際の安全性です。従来のルベルソ(REVERSO)やATCなどのチューブ型ビレイデバイスと比較しても、ロープ操作の快適さを実感できるデバイスで、よりスムーズなビレイを求めるクライマーに向いています。
ネオックス NEOX vs グリグリGRIGRI
ネオックス (NEOX) とグリグリ (GRIGRI) の違いはなに？
グリグリの特徴
グリグリは長年クライマーに支持されてきたビレイデバイスで、ブレーキアシスト機能による安全性が特に魅力です。急なフォール時にもクライマーをしっかり保持し、ハングドッグが続く場合にも保持しやすい安心感があります。しかし、グリグリは使い慣れていないとロープの出し入れがスムーズに行えない場面があり、急なロープ操作が必要なときにスタックしやすいことがデメリットでした。
ネオックスの革新ポイント
グリグリのロープ操作の問題を (恐らく) 解決するべく登場したのがネオックスです。実際に使ってみると、グリグリで感じていたロープの引っかかりがまったくなく、「一体型ホイール」構造により軽い力でロープを送り出せます。グリグリに慣れた私には驚きの進化でした！
使用して感じたメリット
ネオックスは特にグリグリユーザーには新鮮なメリットを感じさせるデバイスです。グリグリに慣れた方にとって、スムーズなロープ出しが圧倒的な魅力に映るでしょう。
・評判通りのスムーズなロープ送り：
ホイール構造により引っかかりが少なく、力を入れずにロープを送り出せます。
ではデメリットはないの？使用して感じたデメリット！
全ての面でネオックスがグリグリに勝っているわけではなく、特にブレーキアシスト機能に関しては注意が必要です。グリグリは、ある状況では、ロープから手を離してもブレーキが掛かったままですが、ネオックスは手でしっかりロープを保持する必要があり、その点でブレーキアシスト機能に差が感じられました。ネオックスはグリグリの進化型と思うよりも、従来のチューブ型ビレイデバイスの進化型と捉えた方が良いかもしれません。
・ネオックスは従来のチューブ型ビレイデバイスの進化型：
ブレーキ機能に関しては、手の保持が欠かせないため、完全な自動アシストではありません。
もうひとつ気になる点：砂埃はホイールの回転に影響を与えることないのか？
個人的に気になるのはホイール部分の耐久性です。私がよく行く外岩は砂岩の岩場です。その影響で外岩クライミングエリアではロープが砂まみれになりやすい状況です。グリグリユーザーなら内部を見れば分かりやすいと思いますが、使っていると内部に、僅かですが、砂埃が溜まってきます。このような「砂埃はホイールの回転に影響を与えることないのか？」が、個人的な疑問です。砂埃の影響は、長年使ってみなければわからないことだと思いますが、ホイール部分のメンテナンスが定期的に必要になるのかも？
どちらを選ぶべき？ネオックス (NEOX) かグリグリ(GRIGRI) か？
どちらを選ぶべきか迷う方も多いと思いますので、シチュエーション別に選択基準をまとめました。
ネオックス (NEOX)：スムーズなロープ操作でストレスフリーのビレイが可能
・ルベルソ(REVERSO) などのチューブ型ビレイデバイスを使いこなせている方がブレーキアシストを備えたビレイデバイスを探している方。
・ ボルト間隔が短いルートを頻繁に登る方。
グリグリ(GRIGRI)
・ハングドッグが長いクライマーのビレイや体重差があるペアの場合
・ボルト間隔が比較的長いルートやロープの出し入れ操作が単調の場合
リードで登っているクライマー視点でのネオックス (NEOX)
最後に、「リードで登っているクライマー視点」での個人的な感想です。現時点でブレーキアシスト機能については、ネオックスよりもグリグリの方が安心感があります。ネオックスのアシスト機能がどれほど信頼できるかは、実際に何度も使用して確かめたいと思っています。
現時点での個人的な結論：
ネオックスは従来のチューブ型ビレイデバイスの進化型
今後ネオックスのアシスト機能がグリグリ並みに感じられるようになれば、多くの状況で、ネオックスが間違いなく選択の第一候補になる可能性があります！
ペツル社 (Petzl) Frieno
補足：ペツル社 (Petzl) Frieno
ネオックス (NEOX) はロープの出し入れが非常にスムーズなため、クライマーを降ろす際もストレスなくロープを流せます。ただし、体重差がある場合は従来のチューブ型ビレイデバイス同様、ビレイ側でしっかり保持する必要があります。そこで役立つのが「Petzl Frieno」。これを併用すると、下降時の制御力が増し、負担を軽減できます。しかし、Petzl Frieno とネオックスの組み合わせを使うなら、従来のチューブ型ビレイデバイスと Petzl Frieno との組み合わせでも悪くないのかも？と思ったり、グリグリ (GRIGRI) でも良いのでは？と思ったり、が正直なところです。どうなのかな？
補足：ホイールコンセプト
ホイールコンセプトは WILDCOUNTRY 社の「REVO」にも採用されていますが、ブレーキアシスト機能に関してはネオックスの方が優れている印象です。
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