クライミングを続けていると、シューズ選びの重要性を改めて実感する瞬間がありますよね。私も当初は「一足あれば十分」と思っていましたが、季節やクライミングスタイルに応じてシューズを履き分けることで、パフォーマンスや快適さが驚くほど向上することに気付きました。今回は、私自身の経験を元に「季節とスタイルによるシューズの選び方」についてご紹介します。
TESTAROSSA & Katana La Sportiva
季節によってクライミングシューズを履き分ける
2024年の夏、私はクライミング旅行でイタリア・オルコとフランス・シャンベリーに出かける機会がありました。オルコでは片麻岩 (gneiss) でのマルチピッチクライミング、シャンベリーでは石灰岩の上級者エリアでのショートピッチクライミングがメインでした。今回のツアーでは、暑さと湿度の高い状況でのクライミングが多かったため、シューズ選びに関して改めて考えさせられました。
マルチピッチ用には少し大きめのスポルティバ・カタナ (39.5EUR) を使用することは決めていましたが、ショートピッチ用のタイトなスポルティバ・テスタロッサ (38EUR) を持参するか迷っていました。しかし最終的には荷物を減らすためにテスタロッサを置いていく決断をしました。そして、その選択が功を奏しました。
気温が30℃を超える日が続いた旅行中、通常ならタイトなシューズで登るようなショートピッチでも、ゆったりとしたカタナで全く問題なく登れたのです。むしろ、夏の暑さで足がむくむ状況では、少し余裕のあるシューズが快適で、クライミング中の痛みやストレスが軽減されました。
これまでの経験でも、夏場は足がむくんでシューズがきつく感じることが多く、涼しい季節には同じシューズでもフィット感が向上することを感じていました。しかし、特に高難度ルート (私の場合は7a (5.11c/d) 以上のルート) では、タイトなシューズが「絶対」だと思い込んでいたのです。今回の経験を通じて、季節に応じてシューズのサイズやフィット感を見直すことで、快適さだけでなくパフォーマンスも大きく向上することを再認識しました。
クライミングスタイルに合わせたシューズ選び
クライミングシューズ選びは、季節だけでなく、クライミングのスタイルに合わせて考えることも重要です。私の場合、外岩でのリードクライミングでは、少しタイトめのシューズを選んでいます。具体的には、履き続けると指が痛くなるほどのフィット感を持つシューズです。一方、インドアクライミングやマルチピッチクライミングでは、少し大きめのシューズ、クライミングシューズを履いたままビレイが可能なサイズ感を好んでいます。
また、シューズの「ソールの硬さ」も、登る岩やスタイルによって選び方が変わってきます。例えば、スポルティバやスカルパのクライミングシューズで言えば、柔らかめのソールでフリクションを重視したい場合は「ビブラムXS-GRIP2」、エッジング性能を重視したい時は硬めの「ビブラムXS-EDGE」が適しています。これらの違いは多くのクライマーによって解説されていますが、実際に左右の足で異なるソールのシューズを試してみると、その違いをよりはっきりと体感できるでしょう。特に柔らかいソールでは、ホールドの感触を足でしっかりと感じ取ることができると思います。
自分に合ったシューズ選びを
クライミングシューズを選ぶ際には、ターンインやダウントゥの有無も、自分のスタイルに合わせて考えることが大切です。ショートルート登る場合、私は傾斜のやや強いルートを好んで登るため、フラットソールよりもダウントゥが強いシューズを好んでいますが、これはクライマーの好みや登るルートによって大きく変わります。
シューズ選びは、一度決めたら終わりではなく、季節や自分のクライミングの成長に応じて見直すことが重要です。どの季節、どのようなスタイルで登るかを意識し、自分のパフォーマンスを最大限に引き出せるシューズを選びましょう。
結論として、クライミングシューズは「一般的な評判」だけでなく、実際に登るルートやスタイル、さらには気温や湿度の変化に応じて選ぶことが大切です。これを意識することで、これまで以上に快適で充実したクライミングが楽しめるようになると思います。
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