フランスでロッククライミングと言えば、セユーズ (Ceuse) やブリアンソン (Briançon)、そしてシャモニー (Chamonix) など、フランスアルプスの名所がよく知られています。これらのエリアはシャンベリー (Chambéry) から車で2〜3時間の距離にあり、アクセスも抜群です。しかし、シャンベリー周辺にも魅力的なクライミングスポットが点在しているのをご存知ですか?今回、そんなシャンベリー近郊のエリアを実際に訪れて、その魅力をたっぷり紹介します。
La Balme de Yenne & Chindrieux du Bas
シャンベリーってどんな場所?
シャンベリーはフランス東部のオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地域圏に位置し、サヴォワ県の県庁所在地でもあります。パリ・リヨン駅からTGVで約3時間、フランスアルプスの玄関口として知られ、冬はスキーリゾート、夏はアウトドアスポーツの愛好者で賑わいます。特にクライミングの拠点としても最適な場所で、フランスの自然を感じながらクライミングを楽しむには理想的なロケーションです。
シャンベリー近郊のおすすめクライミングエリア
シャンベリー周辺には、初心者から上級者まで楽しめるクライミングエリアが豊富にあります。特におすすめしたいのは、ブルジェ湖 (Lac du Bourget) 周辺と L’AVANT PAYS 周辺エリアです。かつてはブルジェ湖の東側に位置するシャンボット (La Chambotte) がメインでしたが、近年では人気が少し薄れてきています。それでも、この地域には新たな魅力がたっぷりです。
La Balme de Yenne
La Balme de Yenne: 石灰岩特有のダイナミックなムーブを楽しめる上級者向けエリア
まず紹介したいのが、「La Balme de Yenne」です。リヨンからも訪れる価値があると言われているこのエリアは、駐車場からわずか3分というアクセスの良さも魅力です。主要なグレードは「7b〜8c」で、特に上級者向けの課題が充実しています。強傾斜で石灰岩特有のコルネを使ったクライミングが楽しめるため、ここに集うクライマーは、6b/6cでウォームアップをこなし、その後7’s/8’sグレードの課題に挑戦する上級者ばかりです。北壁に位置するため、夏でも快適にクライミングができますが、春と秋がベストシーズンとされています。
8月の猛暑 (canicule) の日に訪れた私も、日本の蒸し暑い夏に比べると快適で、午前中には多くの地元クライマーが登っている様子が見られました。このエリアは家族連れにも優しく、駐車場からエリアまでのアクセスが良く、クライミングエリア自体も平らな地形で安心して楽しめます。
私が挑戦したのは、(7a~7b+) のルート。石灰岩のクライミング特有の感覚を存分に味わえました。特に「Cathédrale (7b+)」は、ボルトから一旦離れて登る箇所があり、非常にチャレンジングなルートでした。4つ星を獲得しているクラシックルートだけあって、登る価値が十分にある素晴らしいルートです。
La Balme de Yenne に行くなら:
(1) シャンベリーから La Balme de Yenne に行かれるならブルドー (Bourdeau) にあるトンネルの手前が絶景ポイントです。是非駐車場からブルジェ湖を眺めてください!
(2) トンネルを抜けた後には、地元の人おすすめのパン屋さん (Boulangerie:Le Pain de Mayou) があります。
Chindrieux du Bas: Yoav (7a) & Action man (7a+)
Chindrieux du Bas: 初・中級者におすすめの垂壁エリア
次におすすめするのが「Chindrieux du Bas」です。7つあるエリアの1つ「Liberté, liberté, chérie」は、アプローチが少し長いものの、(5c〜6c) グレードをトライクライマーには最適です。ボルトとボルトの間隔が空きすぎてないので、初級者にとってもトライしやすいと思います。逆に言うと沢山のクイックドローが必要ということです。壁の向きは西向きで、午後早めまでは日陰が多く、夏の暑さを避けてクライミングができます。垂壁のエリアであるため、最近はやや人気が減少しているようですが、その分静かな環境でクライミングを楽しむことができます。
私が登った「Yoav (7a)」は、薄被りから垂壁、スラブへと変化する課題が魅力的で、技術が試されるルートでした。このルートは、今回一緒に登ったクライマーさんが何年も前に初めて (7a) を完登した思い出深いルートと言うこともあり、話が弾みました。このように登った時期が違っても、完登できた喜びを共有できるのが、外岩クライミングならではの醍醐味ですよね。
隣接する「Le grand mur」エリアでは、一転してボルト間の距離がやや広く、メンタル面での挑戦も必要になります。私が登った「Action man (7a+)」は、ボルトの間隔が広い中で、インドアクライミングジムのようなダイナミックなランジムーブが求められ、まさに「Action Man」の名にふさわしいルートでした 😆 ここは真のOSトライを楽しみたい方にぴったりの場所だと思います。
そして何と言っても Chindrieux du Bas エリアはどのルートを登っても景色が最高にいいです!是非終了点からの景色を堪能してください。
番外編:クライミング後のリフレッシュもお忘れなく
Chindrieux du Bas でクライミングを楽しんだ後には、ぜひブルジェ湖でのスイミングを楽しんでください。私は地元の人しか知らない小さなビーチで、クライミング後のリフレッシュタイムを満喫しました。シャンベリーでのクライミング体験の醍醐味は、自然と一体化したリラクゼーションがセットになっていることです 😆
ブルジェ湖(Lac du Bourget)とは?
サヴォワ地方にあるブルジェ湖はフランスで最も広大な自然・氷河湖であり、南北 18km、東西は一番幅広い部分で約3.5 km という細長い形をしています。湖畔の主要な町エクス・レ・バン (Aix les Bains) は古くから療養地とし国際的に有名なスパ タウンです。我々日本人にとっては、フランスで開催されたサッカーワールドカップ (1998年) の時に日本代表のキャンプ地となった町だといえば分かりやすいのかもしれませんね。
Escalade en Savoie TOME 1 (2024年版)
クライミングトポ:
Escalade en Savoie TOME 1
AVANT PAYS エリア
LAC DU BOURGET エリア
✍🏻 最新版 (2024年) のトポには、32 クライミングエリア、2000以上のクライミングルート記載されています。
クライミングシーズン:
春から秋
✍🏻 北壁や日陰のエリアを選べば真夏でも登ることができます。
準備したクライミング道具:
クライミングロープ:80m
クイックドロー:12本
✍🏻 私が登ったクライミングルートではクイックドローが17本必要なルートもありました。
シャンベリーでのクライミングパートナー探し
もしシャンベリーでクライミングパートナーが見つからない場合でも安心してください。私も WhatsApp グループでローカルクライマーに声をかけ、すぐにパートナーを見つけることができました。シャンベリー初訪問でも、現地コミュニティの力を借りれば、素晴らしいクライミング体験が待っています。ぜひ、現地での出会いを楽しみながら、シャンベリーのクライミングを満喫してください!
シャンベリー駅 (Chambery - Challes-les-Eaux) & ブルジェ湖の花火大会 2024
クライマーさんに役立つかもしれないシャンベリー市街情報 😆
シャンベリー駅 (La gare de Chambery - Challes-les-Eaux) にも是非立ち寄ってください!Club Alpin Français de Chambéry が管理している?クライミングウォールがあります。
クライミング友のお勧めのお店 (シャンベリー市街編)
パン屋さん
Boulangerie Hexagone
5 Rue Bonivard, 73000 Chambéry
パン・オ・レザン (Pain aux raisins)、ショーソン・オ・ポム(Chausson aux pommes)の他にハード系のパンも買いましたが美味しかったです。
アイスクリーム屋さん
La Sibérienne | Chambéry
9 Rue Doppet, 73000 Chambéry
クライミングの後にローマ出身のクライミングパートナーに連れて行かれたアイスクリーム屋さん。シャンベリー市街ではこのアイスクリーム屋さんがおすすとのこと。
L'épicurial Café
Pl. François Mitterrand, 73000 Chambéry
クライミングワールドカップで優勝したことのある知り合いとその仲間たちが集まってビールを飲んだお店。ここで飲んだシャンベリーのローカルビールはとても美味しかったです。
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